ストレスで抜け毛が増える原因は?AGAとの違いや回復期間についても解説

仕事や人間関係の悩みなどによる強いストレスは、心身野健康だけではなく髪にも大きな影響をもたらします。

実際、急に抜け毛が増えたと感じて受信した結果、ストレス性の脱毛と診断されるケースは少なくありません。

ストレスによる抜け毛は一時的なものが多く、適切なケアで回復が期待できます。

本記事ではストレスが抜け毛を引き起こす原因やAGAとの違い、回復までの期間、効果的な対策法について医学的根拠に基づいて詳しく解説します。

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ストレスで抜け毛が増える原因

精神的・肉体的なストレスは毛髪の成長を妨げる要因として知られています。強いストレスを受けると身体の機能が一時的に乱れ、正常なヘアサイクルが崩れることがあります。

ストレスによって抜け毛が増える原因として、以下の4つを取り上げました。

  • 自律神経のバランスの乱れ
  • ホルモンバランスの変化
  • 体内の亜鉛が減少している
  • 自己免疫疾患が原因の場合も

それぞれの原因の内容については以下で詳しく解説します。

自律神経のバランスの乱れ

自律神経は心臓の動きや血流、体温調節などをコントロールしていて、心身の状態を一定に保つ役割を担っています。

強いストレスを受けると交感神経が優位になり、副交感神経とのバランスが崩れます。

交感神経は活動時や緊張時に働いて身体を戦闘モードにする神経で、副交感神経は休息時に働いて身体をリラックスさせる神経です。

自律神経のバランスが崩れた結果、頭皮の血管が収縮して毛根への血流が低下し、髪に栄養が行き届きにくくなります。

さらに緊張状態が続くと睡眠の質が下がり、成長ホルモンの分泌も減少します。

その結果毛母細胞の働きが弱まり、抜け毛が増える原因となります。

ホルモンバランスの変化

ストレスを受けると、体内のホルモン分泌が大きく変化します。

特に影響を及ぼすのがコルチゾールとよばれるストレスホルモンです。

コルチゾールは副腎(ふくじん)という臓器から分泌され、ストレスに対抗する働きを持ちますが、分泌が長期間続くと毛母細胞の活動を抑制して髪の成長を妨げます。

また、ストレスにより男性ホルモン(テストステロン)の代謝バランスも崩れやすくなります。

テストステロンが過剰に変化すると「ジヒドロテストステロン(DHT)」という強力な男性ホルモンが増加し、毛根を収縮させて脱毛を引き起こすことがあります。

また、女性ホルモンの分泌もストレスで乱れることになり、髪の成長期が短くなることがあります。

監修医師コメント
尾内 隆志
尾内 隆志

ストレスがホルモンバランスに及ぼす影響は複雑で、コルチゾールの過剰や男性・女性ホルモンの変化が重なることで抜け毛が増加しやすくなります。

体内の亜鉛が減少している

亜鉛は髪の主成分であるケラチンを合成するうえで欠かせない必須ミネラルです。

体内の亜鉛が不足すると毛母細胞の働きが低下し、髪の成長が鈍くなり抜け毛が増える原因になります。

ストレスが続くと身体は防御反応として亜鉛を消費しやすくなり、必要量が十分に確保できなくなることがあります。

また、食生活の偏りや消化吸収の低下も亜鉛不足を助長します。

亜鉛不足の状態では髪だけでなく爪や肌の健康も損なわれやすく、髪が細く短い状態で抜けることが特徴として見られ、長期間続くと髪の密度が現象することもあります。

したがって、体内の亜鉛レベルの低下はストレス性による抜け毛の要因のひとつであるといえます。

自己免疫疾患が原因の場合も

ストrっすが長期間続くと身体の免疫が乱れ、自己免疫疾患による脱毛が起こることがあります。

自己免疫疾患とは、本来は身体を守るために働く免疫が誤って自分の組織を攻撃してしまう病気です。

髪の毛を作る毛包(毛根部分)が攻撃を受けると円形脱毛症のように局所的に髪が抜けることがあります。

以上のようなケースでは、ストレスが引き金となって免疫のバランスが崩れ、髪の健康が著しく損なわれることがあります。

ストレスによる抜け毛の主な特徴

ストレスによる抜け毛は急に抜け毛の量が多くなったり、髪の質や毛根の状態に変化が現れたりすることが多いです。

日常生活における精神的負荷や身体的疲労によって、一時的に髪の成長サイクルが乱れることが背景にあります。

ストレスによる抜け毛は進行性の脱毛症とは異なる特徴が見られます。

  • 抜け毛が急に増える
  • 髪が短い・細い状態で抜ける
  • 抜け毛の毛根の形が小さい

特に上に挙げた特徴が見られる場合はストレスによる抜け毛である可能性が高いでしょう。

抜け毛が急に増える

ストレスによる抜け毛は突然脱毛の本数が増えることが進行性の脱毛症との大きな違いです。

通常のヘアサイクルでは成長期・退行期・旧式が順に繰り返されますが、ストレスを受けることで髪が成長期の途中で旧式に移行する「休止期脱毛症」が起こります。

休止期脱毛症が発生した結果、普段よりも多くの髪が局所的に一気に抜けて短期間で目に見える変化が現れます。

また、小さく短い髪が全体的にまんべんなく抜けるのもストレス性の抜け毛に多く見られる特徴のひとつです。

髪が短い・細い状態で抜ける

ストレス性の抜け毛では、髪が短く細い状態で抜けることがあります。

髪は成長期を迎えて十分に長く太くなりますが、ストレスによって毛母細胞の活動が低下すると、髪が成長期を十分に終えられず、細く短いまま抜けてしまいます。

抜け毛の質が通常とは異なるため、手で触れたときに髪が柔らかく感じたり、短い髪が目立つことがあるでしょう。

さらに亜鉛不足やホルモンバランスの乱れも重なると、髪の太さが均一でなく全体的に細くなりやすいです。

髪の毛そのものに関する特徴は、AGAや加齢による脱毛に見られないものであり、ストレスによる抜け毛であると判断する基準として非常に重要です。

抜け毛の毛根の形が小さい

ストレスによる抜け毛では、毛根の形が小さく萎縮していることがよく見られます。

毛根は髪の成長を司る毛母細胞を含む部分ですが、ストレスやホルモンの影響で毛母細胞の活動が低下すると、毛根が十分に発達せず、髪を支える力が弱まります。

また、抜けた毛の毛根を観察すると休止期脱毛の特徴である小さな毛根が多く確認されるため、ストレス性の抜け毛とAGAなど他の脱毛症との区別が可能です。

ストレスによる抜け毛とAGAの違いは?

抜け毛が増えたと感じたとき、原因がストレスなのかAGA(男性型脱毛症)なのかで対応が大きく変わります。

AGAは進行性の脱毛症で、遺伝や男性ホルモンの影響で徐々に髪が薄くなります。

一方、ストレスによる抜け毛は髪の成長サイクルが一時的に乱れることで起こるため、突然抜け毛が増えるのが特徴です。

また、進行性のAGAと違い、ストレスが解消されれば回復に向かうことが多いのが、ストレス性による抜け毛とAGAとの最大の違いです。

関連記事 ▶ うつ病と抜け毛・薄毛の関係性|抗うつ薬についても解説

監修医師コメント
尾内 隆志
尾内 隆志

AGAの場合、生え際や頭頂部を中心に少しずつ薄毛が広がるのが特徴です。

AGAかどうかを見極めるためには日々の薄毛の変化を観察することが重要のため、気になる箇所の写真を定期的に撮り、比較するのがおすすめです。

治る?ストレスによる抜け毛の回復期間について

ストレスによる抜け毛は、ストレスの原因が取り除かれて髪の成長サイクルが正常に戻れば自然に回復することが多いです。

ただし髪は成長に時間がかかるため、抜け毛が減って新しい髪がしっかりと生えてくるまでにはある程度の時間が必要です。

ストレスによる抜け毛の回復期間について、以下で詳しく解説します。

ストレス性の抜け毛の回復期間は半年から1年程度

ストレス性の抜け毛は休止期にひった髪が成長期に戻るまでにはある程度時間がかかります。

一般的には抜け毛が減って新しい髪がしっかりと生えてくるまでには半年から1年程度要することが多いとされています。

ただし、体質や年齢、栄養状態などによって回復期間には個人差があり、早い人だと数カ月で見た目で分かるほど改善する場合もあれば、1年以上経過してようやく回復の兆しが見られる場合もあります。

焦らず経過を観察することが髪の健康を維持するうえで大切です。

ストレス性の抜け毛の回復期間には個人差があります。

長期的にケアを行うことが大切

抜け毛の回復にが単にストレスを軽減するだけでなく、髪の成長サイクルを整えるための長期的なケアが必要です。

十分な睡眠やバランスのよい食事、頭皮の血流を促すケアをすることで、毛母細胞の活動が回復しやすくなります。

また、ストレスが再びかからないよう生活リズムや心身の健康を維持する習慣も重要です。

ストレスによる抜け毛を防ぐ対策法

ストレスによる抜け毛を防ぐには心身の健康を整え、髪に十分な栄養や血流を届けることが重要です。

ストレスの蓄積は髪の成長サイクルを見出し、抜け毛を増やす要因となります。

生活習慣やヘアケアの見直しを行うことで、抜け毛の進行を抑え、新しい髪が健康に映える環境を整えることが可能です。

ストレスを発散して解消する

ストレスが蓄積すると、交感神経が優位になり血流が悪化することで毛根への栄養供給が低下し、抜け毛が増えやすくなります。運動や趣味、深呼吸や瞑想など心身をリラックスさせる方法を取り入れることが重要です。

また、日記やカウンセリングで感情を整理することも、精神的ストレスを軽減する効果があります。

ストレスが和らぐことで自律神経やホルモンのバランスが整いやすくなり、髪の健康が回復に向かいやすくなるでしょう。

生活習慣全般を改善する

髪の健康は生活習慣と深く関わっています。

十分な睡眠をとることで成長ホルモンの分泌が促進され、毛母細胞の活動が活動が活性化します。

また、栄養バランスのよい食事が髪に必要なタンパク質やミネラルを供給し、抜け毛を防ぐ基盤になります。

さらに喫煙や過度な飲酒、夜ふかしなどは血流やホルモンに悪影響を与えるため、生活習慣を見直すことが抜け毛対策に直結します。

ヘアケアを見直す

日常のヘアケアも抜け毛予防に重要です。

強くこすったり引っ張ったりする洗髪は、毛根に負担を駆け抜け毛を助長する場合があります。

優しく洗い、シャンプーやトリートメントは頭皮の状態に合ったものを使用することが効果的です。

また、ドライヤーの熱や整髪料の過剰使用も髪や頭皮を炒める原因になるため注意が必要です。

頭皮マッサージで血流を改善したり、適切な保湿で乾燥を防ぐことも髪が健康に育つ環境を整えるのに有効です。

抜け毛が改善しない場合は医療機関の受診がおすすめ

ストレス対策や生活習慣の改善を行っても、抜け毛が長期間続く場合や増え続ける場合は、専門医による診断が必要です。

自己診断で放置すると、円形脱毛症や甲状腺疾患など他の病気が隠れているケースを見逃す可能性があります。

医療機関では血液検査やホルモン検査、頭皮の状態のチェックを通じて原因を正確に特定できます。

必要に応じて内服薬や外用薬による治療が行われることもあり、早期に対処することで回復がスムーズになります。

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ストレス抜け毛のよくある質問・Q&A

ストレスで抜け毛が増加しているときはどんなシャンプーを使えばいいですか?

ストレスによる抜け毛では、頭皮への刺激を避けることが重要です。
低刺激でアミノ酸系のシャンプーを選ぶと、頭皮のバリアを守りながら汚れを落とせます。
また高温のお湯や強く擦る洗髪は避け、指の腹で優しく洗うことがポイントです。

ストレスが原因の抜け毛にはサプリは効果的ですか?

亜鉛やビタミンB群、鉄分などは髪の成長に関わる栄養素で、体内で不足すると抜け毛が増える要因となります。
しかしストレスによる抜け毛の根本的原因は自律神経やホルモンバランスの乱れであり、サプリだけで根本的改善は難しいです。
栄養補給はあくまでも補助的な役割だと認識しておきましょう。

高校生でもストレスで抜け毛が増えることがありますか?

高校生でもストレスによる抜け毛は起こり得ます。
学業・部活動・人間関係などによる精神的負荷は、毛髪の栄町サイクルを乱す原因になります。
また、思春期はホルモンバランスが乱れやすい時期でもあるため、ストレスの影響を受けやすいです。
症状が長引く場合は専門医による受診を検討しましょう。

この記事の監修

ーごあいさつー

葛飾橋病院は昭和32年の開院以来、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。
当コラム記事ではさまざまな心の病を持っている方のお手伝いができればと考えています。

  • 平成12年4月〜平成13年5月 東京大学医学部附属病院 精神神経科
  • 平成13年6月〜平成15年5月 財団法人 金森和心会 針生々丘病院 精神科
  • 平成15年6月〜平成17年5月 医療法人社団 柏水会 初石病院 精神科
  • 平成17年6月〜平成18年12月 医療法人社団 健仁会 手賀沼病院 精神科
  • 平成19年1月〜 医療法人遮断 一秀会 葛飾橋病院 理事長
  • 精神保健指定医
  • 認定精神科医
  • 日本精神神経学会専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本医師会会員
  • 日本精神科病院協会 会員
  • 東京精神科病院協会 会員
  • 東京都病院協会 会員
  • ル・ソラリオン葛飾非常勤(嘱託)医師