休日無気力症候群の対策法|診断やセルフチェックの仕方を解説

仕事が休みの日になると何もやる気が起きず、一日中ベッドの上で過ごしてしまう。

そんな状態が続いている方は「休日無気力症候群」の可能性があります。

平日は問題なく働けているのに、休日だけ極端に無気力になってしまうのが休日無気力症候群の特徴です。

放置すると心身の疲労やストレスが慢性化し、うつ状態へ移行する恐れもあります。

本記事では休日無気力症候群の対処法を紹介します。

特徴やセルフチェック方法も分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

休日無気力症候群とは休日にやる気が起こらない状態のこと

休日無気力症候群とは、休日になると何もやる気が起こらず、身体や心が重く感じる状態を指します。

平日は通常通り仕事や学業をこなせるのに、休日になると極端に無気力になる点が特徴です。

医学的な正式名称ではありませんが、慢性的なストレスや疲労の蓄積によって自律神経のバランスが崩れている可能性があります。

自律神経には、活動時に働く「交感神経」と、休息時に働く「副交感神経」があり、これらがバランスを取ることで心身を安定させています。

監修医師コメント
尾内 隆志
尾内 隆志

ストレスを感じている状態が続くと、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、休むべきときに体がリラックスできなくなり、休日でも十分に回復できなくなります。

休日無気力症候群になりやすい人

休日無気力症候群は誰にでも起こり得る疾患ですが、特に真面目で責任感が強いタイプの人ほど注意が必要です。

普段から頑張りすぎる傾向のある人は、心身のエネルギーを消耗しやすく、休日になると一気に疲れが出やすくなります。

  • 何事も頑張りすぎてしまう
  • 負けず嫌い
  • 完璧主義

特に上記の3つに当てはまる性格の人は注意しましょう。

何事も頑張りすぎてしまう性格

仕事や学業、人間関係などで常に全力で取り組むタイプの人は、心身のストレスを抱え込みやすい傾向があります。

周囲に頼らず自分が頑張らねばと考えることで、自律神経が緊張状態のまま休まらない状態が続きます。

休日も何かをしなければと緊張を張り続け、結果的に心のエネルギーが枯渇してしまいます。

責任感が強い事自体は長所ですが、意識的に力を抜く時間を設けることも重要です。

負けず嫌いな性格

常に結果を求め、他人と自分を比較してしまう人は、知らず知らずのうちにストレスを溜めやすい傾向があります。

負けず嫌いな人は、自分に高い目標を課し続け、心が休む時間を確保しにくいのが特徴です。

したがって休日になると緊張の糸が切れたように無気力に陥ることがあります。

達成感を得ることは大切ですが、他者と競うより自分のペースで満足できる目標を設定することで、ストレスを軽減できます。

完璧主義な性格

完璧主義の人は、小さなミスや失敗を許せず、自分に厳しい傾向があります。

そのため常に気を張っており、心身の疲労が蓄積しやすいでしょう。

休日でも「家事を完璧に終わらせなければ」など効率重視の思考になり、本来の休息が取れなくなってしまうことがよくあります。

完璧を目指す姿勢は立派ですが、「今日は何もせず休むことも大事な仕事」と気持ちを切り替える習慣が心を守ることにつながります。

休日無気力症候群のセルフチェック

休日になると体が動かないと感じる日が続いている人は、以下のセルフチェックを行ってみてください。

  • 平日はやりたいことができるのに休日になるとやる気が起きない
  • 休日はお昼過ぎにしか起きられない
  • 整理整頓ができずに部屋が荒れてしまう
  • 休み明けは心身ともにしんどい
  • 肩こりや頭痛の症状に悩まされている

5つのセルフチェックのうち、3つ以上当てはまる場合は、休日無気力症候群を疑った方がよいでしょう。

監修医師コメント
尾内 隆志
尾内 隆志

休日無気力症候群の症状は、休日になるとやる気が起きず何もできなくなるのが特徴です。

平日は普通に過ごせるのに休日になかなか起きれない、部屋が汚い、休み明けは身体が重いなどの症状がある場合は、出来るだけ早めに医療機関への受診をおすすめします。

関連記事 ▶ 生理後のうつの原因は?生理後症候群のチェックの仕方や対策法を解説

休日無気力症候群の診断は?具体的な治療法

休日無気力症候群は多くの場合、心身の疲労やストレス、生活リズムの乱れが発症の背景にあります。

決して自己判断で放置せず、症状が長期間改善しない場合は専門家に相談するようにしましょう。

ここでは、医療機関が休日無気力症候群に対してどのような診断を下し、どのような治療を実施するのかを分かりやすく解説します。

休日無気力症候群という病名は医学的にない

※医学的な病名ではないので医師が「診断」するものではない

休日無気力症候群という名称は、医学的な判断基準には含まれていません。

したがって、医師は休日無気力症候群という名称の病名で診察の結果を提示することもありません。

あくまでも休日になると無気力になる傾向であることを説明するための一般的な呼び方です。

監修医師コメント
尾内 隆志
尾内 隆志

休日無気力症候群の場合は、医療機関ではうつ状態や自律神経失調症など、似た症状をもつ疾患の可能性を確認しつつ治療方針を計画します。

精神面・身体面の治療が中心

休日無気力症候群の治療は、心身の両面からバランスを整えることを最優先に実施されます。

身体面では就寝前にスマートフォンを控えたり、朝日を浴びて体内時計をリセットする習慣が効果的です。

上記治療を継続することにより、自律神経のリズムが整いやすくなります。

精神面では抗うつ効果のある薬を少量処方するケースもあり、過剰な不安や緊張を和らげるための治療が行われます。

また、心理カウンセリングや認知行動療法を通じて、頑張りすぎる思考パターンを修正することも有効な治療法のひとつです。

休日無気力症候群を悪化させない対策法

休日無気力症候群を軽減するには、休むことに罪悪感を持たず、心身を回復させる時間を確保することがとても重要です。

平日の疲れをそのままにしておくと、週末にエネルギー切れを起こす原因となります。

本章では日常生活の中で実践可能なセルフケアを紹介します。

しっかり休んで心身の疲れを回復させる

休日は「何もしない時間」を意識的に作り、心身をリセットさせることが大切です。

読書や音楽鑑賞など、自分が落ち着ける過ごし方を選び、義務感のない時間を過ごすことで脳と体が自然と休息モードに切り替わります。

疲労を感じたときは、睡眠時間の確保を最優先しましょう。

規則正しい生活を心がける

休日でも昼夜逆転を避け、一定の時間に起床・就寝するリズムを保つことが重要です。

体内時計が乱れると、自律神経の切り替えがうまくいかず、無気力感が続きやすくなります。

朝に日光を浴びる・食事時間を整えるなど基本的な生活習慣の安定が回復の土台となります。

日中に適度に散歩をする

軽い運動はセロトニン(幸福ホルモン)の分泌を促進させるため、気分の安定に役立ちます。

特に日光を浴びながらの散歩は心身のリズムを整える効果が高く、ストレスによる神経の緊張をほぐすのに有効です。

無理のない範囲で15~30分程度のウォーキングを習慣にしましょう。

人付き合いを見直す

もし人間関係でのストレスが原因になっているならば、必要以上に気を使う関係から距離を置くことも大切です。

信頼できる人との会話や安心できる環境が心を落ち着かせます。

無理に予定を入れず、ひとりの時間を確保することがエネルギーの回復につながります。

専門の医療機関に相談する

無気力な状態が数週間以上続く場合や、日常生活に支障が出ていると感じた場合は、心療内科やメンタルクリニックへの受診を検討しましょう。

専門医は心理面・身体面の両方から原因を特定し、適切な治療を提案してくれます。

相談することも回復の大切な一歩です。

休日無気力症候群のよくある質問・Q&A

休日無気力症候群と休日うつの違いは何ですか?

休日無気力症候群は、平日は問題なく動けるのに休日になると急に無気力になり何もできなくなる状態を指します。
一方で休日うつは、休日に強い憂鬱が現れ、社会生活や仕事にも影響することがあるため、休日無気力症候群よりも深刻な状態です。
休日無気力症候群は一時的な心身の疲れやストレスが原因であることが多いですが、休日うつはうつ病の一種とされ、医療的な治療が必要となる場合があります。

休日無気力症候群になった場合は休職したほうがいいですか?

休日無気力症候群の段階では、必ずしも休職が必要というわけではありません。
まずは十分な急速をとり、生活リズムや仕事量を見直すことが大切です。
しかし無気力状態が長引いていたり、仕事中も集中できない・涙が出る・強い不安を感じるなどの症状が出ている場合は、うつ病の可能性があります。
その際は、心療内科や精神科などの医療機関に相談し、必要に応じて休職を検討するとよいでしょう。

休日無気力症候群は女性・男性問わずに症状が出ますか?

休日無気力症候群は、性別に関係なく誰でも発症する可能性があります。
責任感が強く、仕事に真面目に取り組む人ほど発症しやすい傾向があります。
女性の場合はホルモンバランスの変化や家庭内の役割負担が影響することもあり、男性の場合は職場でのストレスやプレッシャーが原因になることが多いです。
性別に関わらず、心身の疲れを感じたら早めに休養をとり、無理をしない生活リズムを整えることが予防につながります。

この記事の監修

ーごあいさつー

葛飾橋病院は昭和32年の開院以来、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。
当コラム記事ではさまざまな心の病を持っている方のお手伝いができればと考えています。

  • 平成12年4月〜平成13年5月 東京大学医学部附属病院 精神神経科
  • 平成13年6月〜平成15年5月 財団法人 金森和心会 針生々丘病院 精神科
  • 平成15年6月〜平成17年5月 医療法人社団 柏水会 初石病院 精神科
  • 平成17年6月〜平成18年12月 医療法人社団 健仁会 手賀沼病院 精神科
  • 平成19年1月〜 医療法人遮断 一秀会 葛飾橋病院 理事長
  • 精神保健指定医
  • 認定精神科医
  • 日本精神神経学会専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本医師会会員
  • 日本精神科病院協会 会員
  • 東京精神科病院協会 会員
  • 東京都病院協会 会員
  • ル・ソラリオン葛飾非常勤(嘱託)医師