本記事では生理後のうつの原因、「生理後症候群」について詳しく解説します。
生理後なのに、気分が晴れない
生理後症候群ってどういう状態なの？
月経前症候群（PMS）や生理中の不調を抱える人が多い中、「生理後症候群」という、生理後に心身の不調を抱える人がいます。
生理後にも頭痛やめまい、気持ちが沈んでしまうという方は、隠れ貧血や鉄分不足が原因の可能性があります。
生理後症候群にお悩みの方に向けて、チェックの仕方や対策法についてもわかりやすく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
生理後のうつは生理後症候群の可能性あり
生理が終わる頃になると体調が落ち着き、回復してくるという方もいるでしょう。
しかし中には、生理後に身体の調子が悪かったり、気分がすぐれないという方もいます。
そんなお悩みがある方は、もしかすると「生理後症候群」の可能性が。
生理後症候群は名称の通り、特徴として「生理後」に起こる身体や心の不調のことをいいます。
生理後症候群は生理終わり頃から心身に不調が現れる
生理が過ぎたのに元気が出ない、と感じるのは「生理後症候群」の可能性があります。
生理後症候群は、生理終わり頃から身体や精神的な不調が現れます。
なぜ生理後なのかというと、生理によって失われた「鉄分」が原因であったり、女性ホルモンの影響があると考えられています。
生理後症候群の具体的な症状
生理後症候群の具体的な症状は以下の通りです。
- 身体のだるさ
- 疲労感
- めまい
- 頭痛
- 腹痛
- 色がついたおりもの（茶色）
上記のような状態が生理後に起こるようであれば、生理による鉄分不足や隠れ貧血が原因で、生理後症候群を引き起こしている可能性があります。
生理中はホルモンバランスも変化し、幸せホルモンであるセロトニンの分泌が減少するため、生理後にも影響を与えます。
身体だけではなく、心の変化にも注意してみるようにしましょう。
生理後症候群の考えられる原因
なぜ生理後症候群が起こるのか、実は詳しい原因ははっきりとは解明されていません。
ですが、考えられる原因として「ホルモンバランスの乱れ」や「貧血」などが考えられます。
生理中は排出される経血とともに、鉄分が失われやすく、知らない間に鉄分不足に陥っている可能性があります。
こちらの章では、生理後症候群の考えられる原因について詳しく見ていきましょう。
ホルモンバランスの乱れ
生理後症候群の症状の原因の一つとして考えられるのが、「ホルモンバランス」の乱れです。
女性は、生理周期に合わせてホルモンバランスが変化しますが、生理の前後は特に大きく変化します。
排卵期から生理までに卵胞ホルモン（エストロゲン）と黄体ホルモン（プロゲステン）が分泌されるためです。
ホルモンの分泌と急激な減少は、自律神経にも影響を与えるので、生理前後の気分や体調に影響します。
生理周期によって影響を受けますが、日々の良質な睡眠や運動、食事などを意識して過ごすことが大切です。
貧血や潜在性鉄欠乏
女性は生理が始まると、血と一緒に体内にある鉄分も排出してしまうので、知らず知らずのうちに貧血や潜在鉄欠乏になっている方もいます。
自身が貧血であるかは、採血をし検査をすると数値で確認をすることができます。
一方で数値には異常がないのにも関わらず、体内の貯蔵鉄が不足している状態が、潜在性鉄欠乏です。
潜在鉄欠乏は「隠れ貧血」とも言われており、放置すると貧血が進行する恐れがあります。
ヘモグロビンの数値が正常で健康診断などでは見過ごされることも多いため、注意が必要です。
生理症候群と月経前症候群（PMS）との違い
医学的名称がある月経前症候群（PMS）とは異なり、「生理後症候群」は医学的に正式な名称で呼ばれているものではありません。
月経前症候群（PMS）と生理後症候群の違いは、症状が現れる時期が異なります。
多くの女性は月経前症候群（PMS）などの生理前、または生理中に不調をかかえる声が多いです。
一方で生理後症候群は、生理の終わりかけ、または生理が終わった後に不調が現れるといった特徴があります。
生理後症候群のセルフチェックの仕方
これらの症状が当てはまる場合、生理後症候群の疑いがあります。
- 生理後に身体がだるい
- 倦怠感がありやる気が起きない
- 息切れ・ふらつきの症状がある
- 生理後に下痢をしやすい
- 就寝時に足がむずむずする感覚がある
生理後症候群が起こる可能性として、生理によって一緒に排出された「鉄分」の不足が原因の一つとして考えられます。
貧血だと診断されなくても、隠れ貧血などの場合があるので注意が必要です。
また、「過多月経」と言われる経血の量が異常に多い方は、貧血の症状を抱えていることもあるので、経血量にも注意をしてチェックしてみましましょう。
関連記事 ▶ 休日無気力症候群の対策法｜診断やセルフチェックの仕方を解説
生理後症候群の対策法と治し方
こちらの章では、生理後症候群についての対策法や治し方について解説します。
なんだか生理後に調子が悪いような
上記のように、なんとなく生理後に不調を抱えている方もいるでしょう。
そんな方には、まずはどんな時に自身の調子が変化するのかに気をつけて過ごしてみることや、日々の食生活を意識してみることをおすすめします。
まずは自分の症状を観察する
自身の気分が「生理前」「生理中」「生理後」どのタイミングで、変動があるのか注意をしてみましょう。
生理記録を手軽に入力できる、アプリを活用してみることもおすすめです。
不調を感じた際に、メモを取るなど書き留めておくことでどのタイミングで不調が起こっているのか把握できます。
バランスの取れた食生活を心がける
女性は生理があることで、鉄分不足でお悩みの方も多いでしょう。
普段から「鉄分」を意識して、食生活を心がけて摂取することが大切です。
鉄分を多く含むおすすめ食材はこちらです。
- 動物性食品（ヘム鉄）・・・牛や豚レバー、マグロ（赤み）、あさり、卵黄など
- 植物性食品（非ヘム鉄）・・・ほうれん草、小松菜、大豆、ひじきなど
上記のように、鉄分を豊富に含む食材を意識して、バランスよく日々の食事に取り入れてみましょう。
医療機関で適切な治療を受ける
「症状が辛い」「どうして良いかわからない」など、対策に困ったら一度、医療機関で診察を受けてみると良いでしょう。
病院に足を運ぶことを躊躇してしまうかもしれませんが、生理後の不調は何が原因であるかわからないままでは、対策を取ることは難しいでしょう。
生理後症候群の原因が潜在性鉄欠乏であった場合、自然治癒は難しいため、デリケートなお悩みですが、適切な治療を受けて治療することも大切です。
潜在性鉄欠乏の治療は、鉄剤の内服が一般的でしょう。
鉄剤と一言でいっても、さまざまな種類があるため、飲みやすさや症状に合わせて
医師が適切な鉄剤を処方します。
生理後うつのよくある質問・Q&A
生理後症候群の治療に漢方が処方されることはありますか？
生理前、生理後では処方される漢方の種類が異なることもあります。
受診の際には医師にしっかりと症状を伝えるようにしましょう。
生理後症候群はサプリで改善されますか？
ただし、セルフケアだけでは生理後症候群の症状を改善できない場合もあるでしょう。
症状の改善が見られないときは、自力で治そうとせずに医療機関を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。
40代の生理後の体調不良は更年期の可能性がありますか？
閉経に向けて40代以降は女性ホルモンが変化するため、体調不良を感じることがあるからです。
更年期の悩みは、婦人科や更年期外来で相談するとよいでしょう。
この記事の監修
ーごあいさつー
葛飾橋病院は昭和３２年の開院以来、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。
当コラム記事ではさまざまな心の病を持っている方のお手伝いができればと考えています。
- 平成12年4月〜平成13年5月 東京大学医学部附属病院 精神神経科
- 平成13年6月〜平成15年5月 財団法人 金森和心会 針生々丘病院 精神科
- 平成15年6月〜平成17年5月 医療法人社団 柏水会 初石病院 精神科
- 平成17年6月〜平成18年12月 医療法人社団 健仁会 手賀沼病院 精神科
- 平成19年1月〜 医療法人遮断 一秀会 葛飾橋病院 理事長
- 精神保健指定医
- 認定精神科医
- 日本精神神経学会専門医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会会員
- 日本精神科病院協会 会員
- 東京精神科病院協会 会員
- 東京都病院協会 会員
- ル・ソラリオン葛飾非常勤（嘱託）医師
