視力を回復したいと考える時、レーシックとICLという2つの手術方法が候補に挙がります。
それぞれの手術の方法や回復期間・費用・適応条件が異なるため、自分の目の状態やライフスタイルに合った選択が重要です。
本記事では手術方法の違いや安全性・費用・向き不向きなどを詳しく比較し、どちらが自分に適しているのか判断するためのポイントを解説します。
初めて視力矯正手術を検討する方にもわかりやすい内容です。
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レーシックとICLの手術方法の違い
レーシックとICLは視力を改善するための手術であるという点は同じですが、手術の手法は大きく異なります。
手術方法が違うため、術後の見え方や適用範囲にも差が生じます。
それぞれの手術方法を詳しく見ていきましょう。
【レーシック】角膜を削って視力を矯正
レーシックは角膜の表面を薄く削って形を整えることで、屈折の異常を改善する視力矯正法です。
まず、フラップと呼ばれる薄い膜を作り、その下にある角膜実質をレーザーで削ります。
角膜実質を削ることで屈折力が調整され、その結果裸眼の視力が向上します。
ICLと比べると手術時間が短く、術後の回復が早いのがレーシックの主な特徴です。
そのため、多くの人が手術してから1日経過すれば日常生活に戻れます。
ただし角膜を削る量には限界があり、強い近視やもともと角膜が薄い人には対応できない場合があります。
また、一度削った角膜は元には戻せない点にも注意が必要です。
【ICL】眼内にレンズを挿入
ICLは眼の中に小さな専用のレンズを挿入して屈折異常を矯正します。
レンズは虹彩と水晶体の間に配置され、視力を安定して改善してくれます。
ICLは角膜を傷つけないため、角膜が薄い人や強度の近視の人でも適応可能なのは大きなメリットです。
数ミリ程度の切開部分からレンズを挿入するので、傷口は非常に小さく術後の回復も早いです。
ICLはレンズを取り出せるため、将来目の状態が変化しても対応しやすいのが特徴です。
状況に応じて柔軟に対応したいと考える方に適しているでしょう。
レーシックとICLどっちがいい？費用や見え方を比較
レーシックとICLは、手術の方法だけではなく見え方や手術費用も大きく異なります。
選ぶ際には予算の考え方や将来の視力の安定性も考慮しなければなりません。
ここでは両者の特徴を比較しつつ、選択のポイントについて分かりやすく解説します。
適応条件
視力矯正手術は誰でも受けられるわけではなく、目の構造や年齢、生活習慣によって適応が分かれます。
診断で角膜の厚さや前眼部の状態、度数の安定性などを詳しく調べたうえで、最適な手術法が判断されます。
ここではレーシックとICLそれぞれの代表的な適用条件について分かりやすく解説します。
レーシック
レーシックは角膜の計上を替えて屈折を補正する手術のため、角膜の厚みや度数の範囲が重要な適応条件となります。
- 18歳以上で視力の度数が安定している
- 角膜厚が十分にあること
上記2つの条件を満たしていれば、レーシック手術に適応できる状態であると認められます。
ただし上記の条件を満たしていても、近視の度合いが強い場合は手術をしても思うような効果が得られないため、適応外と判断される場合が多いです。
また、ドライアイが強い人も術後症状が悪化する可能性が高く、適用外になる可能性があります。
最終的には術前検査で角膜形状（円錐角膜の有無）・涙液量・眼圧などを総合的に評価して適応かどうかが決められます。
ICL
ICLは角膜を削らない手術であるため、角膜厚に制約が少ないのが特徴です。
主な適応条件は以下の2点になります。
- 21歳以上（目安）で度数が安定している
- 前房深度・虹彩・水晶体の位置関係が良好であること
レーシック手術では適応外と判断される強度近視の人や角膜が薄い人でも手術を受けることが可能で、広い度数範囲に対応可能です。
一方、緑内障や重度の白内障リスクがある眼、眼内炎症の既往がある場合は適応外と判断されることもあります、。
眼内レンズは将来的に取り外し・交換可能ですが、術前に角膜内皮細胞数・眼圧・前房深度などをチェックして安全性を確保してから実行します。
安全性・リスク
視力矯正手術は高い成功率を誇ります。
ですが、術後に生じる可能性のあるリスクについて正しく理解することがとても重要です。
レーシックとICLでは安全性の考え方や注意点が異なるため、それぞれの特徴を整理して解説します。
レーシック
レーシックは長年多くの症例があり、確立された手術法として広く行われてきました。
しかし、角膜を削る手術である以上、合併症のリスクはゼロではありません。
術後しばらくはドライアイが強く出やすい傾向があり、夜間の光がにじんで見える「ハロー・グレア症状」が生じることもあります。
また、削った角膜はもとに戻らないため、度数の変化や角膜の安定性に影響する場合もあります。
ごくまれに感染症や角膜拡張症など重いトラブルが起きる可能性があるため、術前検査と術後のケアの徹底が安全性を高める鍵となります。
レーシックは厚生労働省が認可している手術法です。
しかしリスクがあるのも事実のため、信頼できる眼科医の判断のもと、リスクとメリットを十分に理解したうえで検討しましょう。
ICL
ICLは角膜を削らないため、角膜への負担が少ないのが特徴です。
また、レンズを取り外す可逆性があることから、将来的な眼の変化にも柔軟に対応しやすい手術方法と言えます。
ただし、眼内にレンズを挿入する外科手術であり、術中・術後に感染症や眼圧上昇などのリスクが伴います。
また、レンズのサイズが適切でない場合、虹彩の形状や水晶体との接触によってトラブルが発生することがあります。
レンズは長期間留置しますが、眼の状態の定期的なチェックは必要不可欠です。
安全性は高いものの、眼内手術であることを踏まえて、医師の指示にもとづいた継続的なフォローを受けることが安心につながります。
見え方
レーシックとICLでは手術後の見え方にも特徴があります。
夜間の見え方や視力の安定性など、日常生活での満足度を左右するポイントが異なります。
それぞれの特性を理解したうえで選ぶことが大切でしょう。
レーシック
レーシックは手術直後から視力が向上することが多く、翌日から裸眼で快適に過ごせるケースが多いのがメリットです。
しかし術後しばらくは角膜が安定する過程で夜間に光がにじむ「ハロー・グレア」が気になる時期が出る可能性があります。
特に大きな瞳の人は症状が出やすい傾向にあるため、生活スタイルも考慮したうえで適応が判断されます。
角膜を削る手術のため、強度近視では見え方の安定性がやや下がる傾向にあります。
また、加齢による視力変化は避けられず、将来的に老眼や追加矯正が必要になる可能性がある点にも注意が必要です。
手術当日の効果実感が大きい一方で、長期的な見え方には個人差が生じる点を踏まえて検討しましょう。
ICL
ICLは角膜を削らず眼内で光の屈折を補正するため、鮮明でコントラストの高い見え方が期待できるとされています。
夜間視にも優れやすく、ハロー・グレアが比較的生じにくいこともICLの特徴です。
強度近視でも視力の質が落ちにくく、近視の補正幅が広いことも安心材料となります。
視力の安定も早い傾向にあり、術後の見え方が長期間維持されやすいです。
ただし眼内レンズの位置によっては一時的に違和感を感じることもあり、定期的な検査で眼圧やレンズの状態を確認することが大切です。
将来の視力変化に応じてレンズ交換が可能なため、長期的に高品質な見え方を求める人に向いています。
元に戻せるかどうか
視力矯正手術を選ぶうえで、将来の視力変化に対応できるかは大きなポイントです。
レーシックとICLでは術後元に戻せるかどうかが明確に異なるため、長期的な視点でメリットを理解しておく必要があります。
以下で詳しく解説します。
レーシック
レーシックは角膜を削る手術のため、基本的に元には戻せません。
削った角膜組織は再生しないため、手術後に視力が変化した場合は追加矯正が検討されますが、角膜の厚みが十分でないと再施術は難しい場合があります。
また、加齢に伴う老眼や度数変化が起きることは避けられず、将来的な視力の変動に柔軟に対応しにくい点はデメリットです。
ただし、レーシックは成功例が多く実績が豊富な治療法であるため、適応条件さえ満たしていれば高い満足度が期待できます。
ICL
ICLでは眼内にレンズを入れるだけで角膜を削らない治療です。
レンズを取り出せば元の状態に近づけられる「可逆性」があることがレーシックとの大きな違いです。
将来視力が変化したり、老眼対策が必要になったりしたときで、レンズを交換するだけで対応可能な場合もあります。
一方で眼内レンズを取り外すには再手術が必要となり、眼内炎症や眼圧上昇などのリスクを伴う可能性がある点には注意しなければなりません。
ICLは長い人生の中で起こり得る視力の変化に対応できるため、将来の選択肢を確保したい人に向いた治療法といえます。
費用の相場
視力矯正手術を検討する際は、費用の違いも選択の大きな判断材料です。
レーシックとICLでは手術方法や使用する器具が異なるため、相場や追加費用の内容も変わってきます。
一般的にはICLの方が価格は高く設定されています。
レーシック
レーシックの費用は施術方法や医院によって差がありますが、両眼でおおよそ25万～40万円前後が一般的な相場です。
高精度のレーザーや最新機器を用いる場合は50万円前後になることもあります。
費用には術前検査やアフターケアが含まれるケースがほとんどですが、オプション扱いになっている場合は追加料金として請求されることもあるため、費用の内訳については十分確認するようにしましょう。
健康保険は基本的に適用外ですが、学割やモニター割引などを利用できるクリニックもあります。
ICL
ICLは眼内レンズを仕様する手術でレーシックに比べて費用が高めに設定されています。
両眼でおおおそ50万～70万円前後が相場で、仕様するレンズの種類や技術料によってさらに高額となる場合もあります。
費用には術後検査・手術・アフターケアが含まれることが多いですが、必要に応じて追加検査やオプション費用がかかる場合があります。
健康保険は基本的に適用されませんが、強度近視や角膜が薄い場合にレーシックが不適応ならば、ICLの費用対効果は十分検討に値します。
レーシック・ICLが向いている人
視力矯正手術にはそれぞれ得意なケースや向いている条件があります。
自分の目の状態や生活スタイルに合った手術を選ぶことが、後悔しないためのポイントです。
以下で自分がレーシックとICLのどちらに向いているか確認してみましょう。
レーシックが向いている人
レーシック手術に向いている人の特徴は以下の通りです。
- 角膜の厚みが十分な人
- 軽度～中等症の近視。遠視・乱視を矯正したい人
- 短期間で視力を改善させたい人
- 予算を抑えつつ視力を改善したい人
また、レーシックは手術歴が豊富で安全性がICLよりも高く、視力矯正手術に不安を感じている人にも適しています。
一方で一度手術すると元には戻せないため、将来の度数変化には対応しづらい点を考慮して検討しましょう。
ICLが向いている人
ICLに向いているのは以下の特徴を持つ人です。
- 角膜が薄い人
- 近視が強い人
- 夜間視やコントラスト感を重視する人
また、眼内レンズは将来的に交換が可能なので、長期的な視力変化に対応したいと考えている人はICLのほうが適しています。
ICLは角膜を削らないため、運動やスポーツを日常的に行う方にもおすすめの視力矯正方法です。
ただし、ICL手術を行った場合の運動再開は、ランニングなどの軽い運動は2週間後、野球やサッカーなど激しく動くスポーツは1ヶ月後が目安となります。
やめた方がいい？レーシック・ICLが向いていない人
視力矯正手術は誰にでも適しているわけではありません。
眼の状態や生活習慣によっては、手術後のトラブルや満足度の低下に繋がる場合があります。
ここではレーシック・ICLのそれぞれで向いていない人の特徴を整理します。
レーシックが向いていない人
レーシックは角膜を削る手術のため、元々角膜が薄い人や角膜の形状に異常がある人は向いていません。
また強度近視や乱視が極端に強い場合も、削れる角膜料に制限があるため手術が困難です。
また、ドライアイの症状が強い人や眼の表面の疾患がある人は、術後に症状が悪化するリスクがあります。
さらに妊娠中・授乳中はホルモンの影響で視力が変動しやすく、安定した結果が得られにくいため避けるべきです。
一度手術すると元に戻せないため、将来的な度数変化や老眼に対応しにくい点も理解しておく必要があります。
ICLが向いていない人
ICｌは眼内にレンズを挿入する手術で、眼圧が高い方や前房震度が浅い方にはリスクが高くなるため不向きです。
緑内障や白内障のリスクがある眼、重度の角膜内皮細胞減少がある方も適応外となります。
また、眼内手術であるため感染症や術後合併症のリスクがゼロではなく、定期的な検査に協力できない方も手術は避けたほうが無難です。
そしてレーシックと同様、妊娠中・授乳中の人も手術は控えたほうがよいでしょう。
レーシックとは異なり元の状態に戻せるのがICLの特徴ですが、適応条件を満たせない場合は安全性が確保できず、結果として満足度が低くなる可能性があります。
結局どっちがいい？レーシックとICLの選び方のポイント
レーシックは費用を抑えつつ日常生活で裸眼視力をしっかり確保したい方に向いています。
角膜の厚みが十分にあり、近視や乱視が比較的軽度ならば手術は可能でしょう。
一方、ICLは角膜を削らない手術であり、将来的にレンズを交換して加齢による視力の変化に対応できるのが大きな特徴です。
夜間の見え方もレーシックより安定しているので、より高品質な見え方を求める方に適しています。
レーシック・ICLどちらも、満足できる手術を受けるためには手術を受ける病院選びが非常に重要です。
手術を受ける病院は、実績が豊富で専門医が在籍しているところを選ぶようにしましょう。
どちらにするか迷っているならば、両方の手術に対応している病院を受診すると、最適な手術方法を医師が提案してくれます。
レーシックICLどっちがいいのよくある質問・Q&A
レーシック手術が減ったと言われているのはなぜですか？
その他、メガネのブームが起きたことやコンタクトの性能が以前と比べて良くなっていることも原因の一つでしょう。
また、2009年に某医療施設で起きた集団感染事件もレーシック離れの大きな要因です。
レーシックをすると目つきが変わるのは本当ですか？
レーシックは角膜を削って視力矯正を行う手術です。
眼球の位置を変えるわけではないため、見た目に大きな変化はないでしょう。
眼科医がレーシックやICLをしないのはなぜですか？
また、中にはメガネやコンタクトを好んでいる眼科医もいるでしょう。
専門家だからこそ自分の眼にとって最善の方法を選択しているのです。
この記事の監修
ーごあいさつー
葛飾橋病院は昭和３２年の開院以来、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。
当コラム記事ではさまざまな心の病を持っている方のお手伝いができればと考えています。
- 平成12年4月〜平成13年5月 東京大学医学部附属病院 精神神経科
- 平成13年6月〜平成15年5月 財団法人 金森和心会 針生々丘病院 精神科
- 平成15年6月〜平成17年5月 医療法人社団 柏水会 初石病院 精神科
- 平成17年6月〜平成18年12月 医療法人社団 健仁会 手賀沼病院 精神科
- 平成19年1月〜 医療法人遮断 一秀会 葛飾橋病院 理事長
- 精神保健指定医
- 認定精神科医
- 日本精神神経学会専門医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会会員
- 日本精神科病院協会 会員
- 東京精神科病院協会 会員
- 東京都病院協会 会員
- ル・ソラリオン葛飾非常勤（嘱託）医師
