十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず、日中に強い眠気を感じる状態に悩んでいませんか。
単なる疲れや寝不足と考えがちですが、睡眠の質の低下や生活習慣の乱れに加え、病気が関係している可能性も否定できません。
特に眠気が長期間続いたり、生活に支障が出ていたりする場合は注意が必要です。
本記事では、寝ても寝ても眠い原因や考えられる疾患、受診の目安や対処法について、医師の視点からわかりやすく解説します。
寝ても寝ても眠いのはなぜ?原因や考えられる病気

十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず、強い眠気が続く場合は注意が必要です。
一時的な疲れだけでなく、睡眠の質の低下や生活習慣の乱れ、さらには疾患が関係している可能性も。
原因によって対処法や受診の必要性が異なるため、適切に見極めることが重要です。
ここでは、寝ても寝ても眠い原因と考えられる主な病気について解説します。
睡眠の質の低下・睡眠不足

睡眠時間を確保していても、眠りが浅い状態では十分な休息が得られません。
「長く寝ているのに疲れが取れない」と感じる場合は、睡眠の質の低下を疑う必要があります。
就寝前のスマートフォン使用や夜更かし、寝る直前の食事や飲酒は、深い睡眠を妨げる要因となります。
また、寝ている途中で何度も目が覚める中途覚醒がある場合、実質的な睡眠不足に陥ることも少なくありません。
ストレス・自律神経の乱れ

強いストレスや生活リズムの乱れは、自律神経のバランスを崩す原因となります。
自律神経が乱れると、日中に必要な覚醒状態が保たれにくくなり、過剰な眠気として現れることがあります。
さらに、夜間の睡眠の質も低下しやすく、結果として日中のだるさや集中力低下につながります。
ストレスが続く環境では、心身が回復しにくくなり、慢性的な眠気を引き起こす点に注意が必要です。
ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスは生活習慣や加齢、ストレスなどの影響を受けて変動し、男女問わず眠気の原因となることがあります。
ホルモンの分泌リズムが乱れると体内時計にも影響が及び、日中に強い眠気やだるさを感じやすくなる状態につながるのが特徴です。
ホルモンの乱れは体のリズム全体に影響し、睡眠の質低下や日中の眠気を引き起こす要因となります。
さらに、食生活の偏りや慢性的な睡眠不足が重なると、回復しにくい状態に陥るケースも少なくありません。
女性は月経周期や更年期によるホルモン変動の影響を受けやすく、特に眠気が強く出やすい点には注意が必要です。
うつ病・双極性障害

うつ病や双極性障害では、気分の落ち込みだけでなく睡眠に与える影響も大きいです。
過眠傾向が出るタイプでは、長時間寝ても眠気が取れず、日中の活動が困難になることがあります。
眠気に加えて気分の落ち込みや意欲低下が続く場合は、精神疾患の可能性も考慮する必要があります。
双極性障害では気分の波に応じて睡眠時間が大きく変動する特徴も見られます。
早期に専門医へ相談することが重要です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まることで十分な酸素が取り込めなくなる疾患です。
その結果、深い睡眠が妨げられ、長時間寝ても疲労感や眠気が残ります。
大きないびきや日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群を疑う必要があります。
肥満体質や元々首周りが太い人は一般の人よりも発症しやすいと言われています。
放置すると高血圧や心疾患のリスクが高まるため注意が必要です。
特発性過眠症・ナルコレプシー

日中の強い眠気が慢性的に続く場合、過眠症と呼ばれる疾患の可能性があります。
特にナルコレプシーでは、突然眠り込んだり、笑ったときに力が抜ける発作が見られることがあります。
意思に反して眠ってしまう症状がある場合は神経系の疾患が疑われるため、医師の受診を検討しましょう。
また、特発性過眠症では長時間の睡眠でも眠気が改善しにくい傾向がみられます。
甲状腺機能低下症・貧血などの身体疾患

身体の病気が原因で眠気やだるさが生じることもあります。
甲状腺機能低下症では代謝が低下し、強い眠気や疲労感、寒がりなどの症状が現れます。
眠気に加えて体重増加や肌の乾燥、めまいなどがある場合は身体疾患の可能性があります。
また、貧血では酸素運搬が不足し、慢性的なだるさや集中力低下につながるため、注意が必要です。
血液検査で確認できるため、内科での相談が有効です。

監修者コメント
十分な睡眠時間が取れているのに眠いのは、上記のように様々な要因があります。
中には病院での治療が必要な場合もあるため、当てはまる方はできるだけ早めに受診しましょう。
【チェックリスト】寝ても寝ても眠いのは病気のサイン?
※2つ以上当てはまる場合は、単なる疲れではなく疾患が原因の可能性があり
寝ても寝ても眠い場合、自分で対策可能な原因もありますが、病気が理由である場合は医師の診察による治療を検討しましょう。
セルフチェックリストの内容を確認し、一度チェックしてみてください。
【セルフチェックリスト】
上記チェックリストに2つ以上当てはまるならば、病気が原因である可能性があります。
2つ以上当てはまれば必ず病気が理由というわけではありませんが、寝不足である理由がはっきりしない場合は、早期発見のためにも、医師に相談してみることをおすすめします。
寝ても寝ても眠いときの対処法

十分に寝ているにもかかわらず眠気が取れない場合は、生活習慣や睡眠環境の見直しが重要です。
原因によって対処法は異なりますが、日常の工夫で改善が期待できるケースも少なくありません。
まずは無理のない範囲で生活リズムや習慣を整えることが、眠気の軽減につながります
一方で、セルフケアを行っても改善しない場合は、疾患が関与している可能性も考えられます。
睡眠環境を整える
質の良い睡眠を確保するには、寝室の環境を見直すことが重要です。
室温は季節に応じて調整しましょう。
一般的には20℃前後を目安にすると快適に眠りやすくなります。
就寝前はスマートフォンやパソコンの使用を控え、照明を暗めにすることで入眠しやすくなります。
また、寝具は体に合った硬さのものを選び、枕の高さも首に負担がかからないよう調整することが大切です。
静かな環境づくりや遮光カーテンの使用も、睡眠の質向上に有効な対策のひとつです。
毎朝決まった時間に起きる
起床時間を一定に保つことで体内時計が整い、日中の眠気の軽減につながります。
休日に寝だめをするとリズムが乱れやすくなるため、平日との差は1〜2時間以内に抑えるのが理想です。
朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びることで、体内時計がリセットされやすくなります。
さらに、起床後にコップ1杯の水を飲む、軽くストレッチをするなどの習慣を取り入れると、覚醒しやすい状態が整います。
無理に早起きをするのではなく、継続できる時間で固定することが大切です。
15〜20分の仮眠を取り入れる
短時間の仮眠は、日中の眠気や集中力の低下をリセットする有効な方法です。
仮眠を取るタイミングは、眠気が出やすい昼食後から15時頃までが適しており、この時間帯に15〜20分程度を目安にすると効果が期待できます。
長時間の仮眠や夕方以降の昼寝は、夜の睡眠に悪影響を与えるため、極力避けるようにしましょう。
仕事で忙しい場合は昼休みに目を閉じるだけでも効果があり、デスクに伏せる・静かな場所で座るなど無理のない方法で取り入れられます。
家事に追われる場合も、合間に横になる時間を確保することで疲労回復につながりやすくなります。
カフェイン・アルコールを見直す
カフェインには覚醒作用があり、摂取すると眠気を一時的に抑えますが、効果が長時間持続するため入眠を妨げる原因になります。
一方、アルコールは寝つきを良くするように感じられるものの、睡眠が浅くなり途中で目が覚めやすくなる点が問題です。
カフェインは就寝の4〜6時間前まで、アルコールは寝る直前の摂取を控えることが重要です。
具体的には、夕方以降はコーヒーやエナジードリンクを避け、代わりにノンカフェインの飲み物を選ぶとよいでしょう。
飲酒の習慣がある場合も、量を控える・休肝日を設けるなどの工夫が睡眠の質改善につながります。
ストレスを意識的に解消する
ストレスが蓄積すると自律神経が乱れ、眠気やだるさが慢性化しやすくなります。
日常の中で無理なく続けられる方法を取り入れることが、睡眠の質改善につながります。
軽い運動や深呼吸、入浴などは自律神経を整えやすく、手軽に取り入れやすい方法です。
例えば、1日10〜15分のウォーキングやストレッチ、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる習慣が有効とされています。
また、趣味の時間を確保したり、家族や友人と会話することも気分転換になり、心身のリフレッシュに役立ちます。

監修者コメント
寝ても寝ても眠い場合は、まずは生活習慣など見直せることから意識して取り組んでいくことが大切です。
セルフケアしても改善されない場合は病院での受診を視野に入れましょう。
寝ても寝ても眠いのは受診のサイン!何科に行くべき?

十分な睡眠をとっているにもかかわらず強い眠気が続く場合、自己判断で様子を見るだけでは不十分です。
特に日常生活に支障が出ていたり、他の症状を伴っていたりする場合は医師の適切な診断を受ける必要があります。
ここでは、受診が必要な症状と診療科の選び方について解説します。
受診が必要な症状
気分の落ち込み・無気力・何もしたくない感覚が2週間以上続く
日中に突然眠り込む、または笑ったときに力が抜ける
大きないびき・起床時の頭痛・熟睡感がない
月経周期や更年期症状と眠気が連動している
だるさ・寒がり・体重増加・肌の乾燥が伴う
以下の症状のいずれかに心当たりがある場合、病院の受診を検討したほうがよいでしょう。
気分の落ち込みや無気力、何もしたくない感覚が2週間以上続く場合は、うつ病や双極性障害などの精神疾患が疑われます。
日中に突然眠り込む、または笑ったときに力が抜ける症状がある場合は、ナルコレプシーなどの過眠症が考えられます。
大きないびきや起床時の頭痛、熟睡感のなさがある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いです。
睡眠中に呼吸が止まることで十分な休息が得られず、日中の強い眠気につながります。
月経周期や更年期症状と眠気が連動している場合は、ホルモンバランスの変動が関係している可能性があります。
婦人科領域の不調が背景にあるケースもあり、継続的に症状が出る場合は注意が必要です。
だるさや寒がり、体重増加、肌の乾燥を伴う場合は、甲状腺機能低下症が疑われます。
また、貧血でも慢性的な疲労感や眠気が生じることがあり、血液検査による確認が重要です。
受診科目の選び方
眠気の原因は多岐にわたるため、症状の特徴に応じて適切な診療科を選ぶことが重要です。
受診先を誤ると原因の特定に時間がかかる可能性があるため、主な症状を手がかりに判断するとよいでしょう。
| 症状の特徴 | おすすめの受診科 |
|---|---|
| 気持ちの落ち込みが伴う | 精神科・心療内科 |
| 日中に突然眠る・脱力する | 神経内科・精神科 |
| いびき・起床時の頭痛 | 内科・耳鼻科 |
| 月経・更年期と関連 | 婦人科・心療内科 |
| 疲れやすさ・寒がりも伴う | 内科(甲状腺・貧血検査) |
気持ちの落ち込みや無気力が続く場合は、精神科や心療内科が適しています。
心の不調と睡眠の問題は密接に関係しており、治療で心が安定すれば睡眠不足も徐々に改善するケースが多いです。
日中に突然眠る、または脱力発作がある場合は、神経内科や精神科の受診が推奨されます。
ナルコレプシーなど神経系の疾患が疑われるため、専門的な検査が必要になることがあります。
いびきや起床時の頭痛がある場合は、内科や耳鼻科で相談しましょう。
睡眠時無呼吸症候群の可能性があり、必要に応じて睡眠検査が行われます。
月経周期や更年期と関連する場合は、婦人科や心療内科での受診が適切です。
ホルモンバランスの変動や自律神経の影響が関与している可能性が考えられます。
疲れやすさや寒がりを伴う場合は、内科での検査を受けましょう。
甲状腺機能低下症や貧血など、血液検査で確認できる疾患が隠れていることがあります。
眠気だけでなく、どのような症状が一緒に現れているかを整理することが受診科選びのポイントです。
寝ても寝ても眠いのよくある質問・Q&A
- Q毎日10時間以上寝てしまうのは病気ですか?
- A
個人差はありますが、毎日10時間以上の睡眠が必要な状態が続く場合は注意が必要です。
成長期や一時的な疲労で長く眠ることはありますが、日中も眠気が強い場合は過眠症やうつ病などの可能性が考えられます。
睡眠時間が長いだけでなく、日中の生活に支障が出ているかが重要な判断ポイントです。
気になる場合は医療機関で相談すると安心です。
- Q過眠症は治りますか?
- A
過眠症は原因や種類によって経過が異なりますが、適切な治療や生活習慣の見直しによって症状の改善が期待できます。
ナルコレプシーなどは完全に治すことが難しいケースもありますが、薬物療法や生活管理で日常生活への影響を軽減可能です。
早期に診断を受けることで、症状のコントロールがしやすくなるだけでなく、完治までの期間も短くなります。
自己判断で放置せず、専門医への相談が大切です。
- Q精神科に行くのはハードルが高いのですがどうすればいいですか?
- A
※精神科はこころと体の不調を診る機関。内科を受診する感覚で受診。相談だけでもOK
精神科や心療内科は、こころと体の不調を総合的に診る医療機関です。
特別な準備は必要なく、内科を受診する感覚で相談して問題ありません。
「相談だけでも大丈夫」という意識で受診することが大切です。
不安がある場合は、まず内科で相談し、必要に応じて紹介を受ける方法もあります。
- Q子どもや10代でも「寝ても寝ても眠い」は起こりますか?
- A
子どもや10代でも強い眠気が続くことは珍しくありません。
成長期は睡眠時間が長くなる傾向がありますが、日中の活動に支障が出る場合は注意が必要です。
学業や生活に影響が出ている場合は、単なる成長による変化ではない可能性があります
睡眠障害や生活習慣の乱れが関係することもあり、必要に応じて小児科や専門医への相談が望まれます。
- Q「寝ても寝ても眠い」のスピリチュアル的な意味はありますか?
- A
眠気についてスピリチュアルな解釈が語られることもありますが、医学的に見ると体や心の状態が密接に関係していると考えられます。
特に睡眠の質の低下やストレス、疾患が原因となるケースが多です。
強い眠気が続く場合は、まず医学的な原因を優先して考えることが重要です。
不調が続く場合は自己判断せず、早めに医療機関での診察を受けるようにしましょう。
― ごあいさつ ―
葛飾橋病院は昭和32年の開院以来、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。
当コラム記事ではさまざまな心の病を持っている方のお手伝いができればと考えています。

