毎日のように嫌な夢ばかり見るような状態が続くと途中で起きてしまい、疲れがなかなか取れないものです。
また、疲れが貯まるだけではなく『自分は大丈夫なのだろうか」と不安に襲われるため、寝付きが悪くなるといった悪循環になる可能性もあります。
夢は脳や心の状態を反映しているとされており、精神的なストレスが嫌な夢ばかり見る原因となっているケースもあります。
この記事では、嫌な夢ばかり見る拝見にある心理的・生活的要因を解説し、セルフケアから専門的治療までの対処法を紹介します。
「嫌な夢ばかり見る」主な原因は精神状態の不調
嫌な夢ばかり見るときの原因のひとつに心の不調があります。
強いストレス・トラウマ・人間関係の悩み、そして精神的な疾患などが主な要因です。
嫌な夢ばかり見る状態にある人が患っているケースが多い以下の4つの精神疾患・病気についてそれぞれ詳しく解説します。
- 大きなストレス・プレッシャー・強い不安
- 災害・暴力などのトラウマ体験
- 人間関係の問題
- うつ病など精神疾患
大きなストレス・プレッシャー・強い不安
強いストレスやプレッシャーは、脳が休まらない原因となり、夢にも影響を及ぼします。
仕事や学業の成果を求められる状況・将来への不安・家庭での問題などが積み重なると、心身は常に緊張状態に置かれ、悪い夢を見る日々が続く可能性が高いです。
また、プレッシャーを強く感じていると、夢の中で「追い詰められる」「逃げる」といった状況が多く表れやすくなります。
ストレスや不安が続くと睡眠の質が低下し、日中での疲労感や集中力の低下に繋がることもあるため、心身のケアが必要不可欠です。
災害・暴力などのトラウマ体験
災害や事故、暴力のような強い衝撃を伴う体験は心に深い傷を残しやすく、過去の記憶が夢に繰り返し表れることがあります。
特に、PTSD(心的外傷ストレス障害)の場合、恐怖や絶望を伴う夢が頻繁に表れるケースが多いです。
過去のトラウマ体験によって引き起こされる悪い夢は単なる偶然ではなく、心が助けを求めているサインである可能性が高いです。
自分で悩みを抱えるようなことはせず、自分の身の回りの信頼できる人や、専門家に話すことが改善の第一歩となります。
人間関係の問題
人間関係のストレスも嫌な夢の大きな要因のひとつです。
職場や学校での対人トラブル・家庭内の不和・友人関係の不安などが心に積み重なると、睡眠中にも緊張が持ち込まれやすくなります。
例えば「誰かに責められる夢」「人から拒絶される夢」を繰り返し見ることがあるならば、人間関係の悩みが原因である可能性が高いです。
孤独感や人からの評価に敏感な人ほど、人間関係の悩みが原因となる悪い夢を見やすい傾向にあります。
人との関わり方を見直したり、自分の気持ちを表現できる環境を持つことで、心の負担が軽減される可能性があります。
うつ病など精神疾患
うつ病や不安障害、PTSDなどの精神疾患では、睡眠の質が下がりやすく、悪夢が頻発することがあります。
強い罪悪感や無力感を抱えたまま眠りにつくと夢に反映され、「自分を責める夢」「失敗する夢」として繰り返されるケースが多いです。
また、不安障害やPTSDでは恐怖体験を夢の中で再現することが多く、睡眠への恐怖から不眠症を伴う場合も少なく有りません。
嫌な夢が続き、日常生活に支障をきたす場合は、精神疾患の可能性を考えて専門医の診察を受けることが重要です。
「嫌な夢ばかり見る」精神状態の不調以外に考えられる原因
嫌な夢ばかり見る要因は心の不調に限られず、生活習慣や身体の状態とも深く関係しています。
睡眠不足や飲酒・喫煙の影響・薬の副作用などの日常生活が影響し、悪い夢を繰り返し見るケースがあります。
ここでは、精神の不調以外に悪い夢ばかり見る要因とされている3つのケースについて詳しく解説します。
- 睡眠不足
- 過度な飲酒・喫煙
- 薬の副作用
睡眠不足
十分な睡眠を取れない状態が続くと、脳の休息が不十分となり夢の内容が不快なものとなりやすいです。
短時間睡眠や途中覚醒が繰り返される生活を続けると、夢が悪夢として印象に残る可能性も高まります。
夜ふかしや不規則な生活リズムが習慣化すると、日中の疲労や集中力の低下に加えて、睡眠の質も大きく損なわれます。
快適な睡眠を得るためには一定の睡眠時間を確保し、眠る時間と起きる時間を安定させることが重要です。
過度な飲酒・喫煙
アルコールやニコチンは脳の働きや睡眠の仕組みに影響を与えるため、悪い夢ばかり見る要因となります。
アルコールは入眠の助ける作用がある一方で、深い眠りを妨げるため夜中に何度も目が冷めやすくなります。
浅い眠りが増えると夢を見る機会が多くなり、その結果悪い夢を繰り返し体験する頻度も上昇して睡眠障害などを発症する可能性が高いです。
また、喫煙によって摂取されるニコチンは覚醒作用が強く、睡眠のリズムを乱しやすくなります。
薬の副作用
服用している薬によっては副作用として悪い夢を見る頻度が上昇します。
抗うつ薬や降圧薬・睡眠薬の一部には夢の内容を鮮明にし、不快な夢を増幅させる作用があることが実際に報告されています。
自己判断で服薬を中断するのは、改善しかけていた病気が再度悪化することに繋がるため、勝手な減薬や断薬は禁物です。
薬の服用で悪い夢を繰り返し見ると判断したならば、種類や量を調整することで症状の改善が期待されるため、医師に一度相談してみましょう。
嫌な夢ばかり見る場合は精神疾患・病気を発症しているサインかも
嫌な夢が続くとき、単なるストレスや生活習慣が影響しているのではなく、精神な疾患や睡眠障害が関係している可能性があります。
嫌な夢ばかり見る要因とされる主な精神疾患は以下の4つです。
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
- 悪夢障害
- うつ病
- 全般不安症(全般性不安障害)など
悪い夢ばかり見る日々が続いて途中覚醒が頻発してよく眠れず日常生活に支障が出ている場合は、精神的に何らかの疾患を患っている可能性があります。
PTSDでは災害や事故、暴力などの体験が夢に再現されやすく、悪夢による睡眠障害を招くことがあり、悪夢障害は恐怖を伴う夢が高頻度で表れ、再入眠を妨げ生活の質を低下させる睡眠障害のひとつです。
うつ病では浅い眠りの影響で夢を記憶しやすく、自分を責める内容が繰り返されることがあります。
嫌な夢が慢性的に繰り返されて日常生活に影響が出ている場合、精神疾患の可能性も考慮して専門医への早めの相談を検討しましょう。
嫌な夢ばかり見るときの対処法「セルフケア~専門的な治療法」
嫌な夢ばかり見るときは心身が疲弊しやすく、放置すると不眠や精神的な不調に繋がります。
生活習慣の見直しやストレス対策などのセルフケアが役立つ一方で、症状が改善しない場合は専門的な治療を受けることが重要です。
【セルフケア】趣味や運動でストレスを軽減
悪夢の原因のひとつにストレスがあり、日常生活などでストレス軽減することは悪い夢を見ないようにする対策として非常に有効です。
趣味や軽い運動はストレスを和らげ、悪い夢の頻度を減らす効果が期待できます。
読書・音楽・創作活動など好きなことに没頭すれば心がリラックスし、不安や緊張が和らぎます。
ウォーキングやヨガ・ストレッチなどの軽い運動は血流を促進し、心身を落ち着かせる効果があります。
特に日中の適度な運動は睡眠の質を高め、深い眠りを得やすくなります。
ただし過度の運動は心身が疲弊して逆効果となる場合があるため、無理のない範囲で継続することが大切です。
- ウォーキングやヨガなどの軽い運動
- アロマや入浴によるリラックス
- 日記を書いて気持ちを言葉にして整理
- 読書。音楽など趣味に没頭
- 深呼吸や瞑想で心を落ち着ける時間を設ける
【セルフケア】健康的な生活リズムと睡眠環境を整える
規則正しい生活リズムは、睡眠の質を高めて嫌な夢の予防に繋がります。
毎日同じ時間に就寝・起床することで体内時計が整い、深い眠りを得やすくなります。
就寝前にスマートフォンやパソコンを避け、リラックスできる読書や入浴に切り替えることも有効です。
また、寝室の環境を整えることも重要で、暗さや静けさを確保し、寝具の快適さを見直すことで睡眠の質が向上します。
アルコールやカフェインは眠りを浅くするため、夕方以降は控えることが望ましいです。
【専門的な治療法】薬物療法・精神療法を行う
セルフケアを続けても改善が見られない場合は、医療機関での治療が必要です。
精神科や心療内科では、症状の原因に応じて薬物治療法や精神療法が行われます。
薬物療法では睡眠導入薬や抗うつ薬、不安を和らげる薬が用いられ、夢の頻度や内容を和らげる効果が期待されます。
精神療法としては、認知行動療法やイメージリハーサル療法などが有効とされ、悪夢の内容を書き換えて繰り返しイメージすることで夢の影響を軽減します。
専門的な治療は悪夢だけではなく、不眠や精神的な不調にも効果的で、長期的な改善に繋がります。
嫌な夢ばかり見る場合に関するよくある質問
二度寝をすると嫌な夢を見やすいのはなぜですか?
嫌な夢ばかり見る場合のスピリチュアルな意味を教えてください。
嫌な夢ばかり見る場合はうつの前兆ですか?
この記事の監修
ーごあいさつー
葛飾橋病院は昭和32年の開院以来、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。
当コラム記事ではさまざまな心の病を持っている方のお手伝いができればと考えています。
- 平成12年4月〜平成13年5月 東京大学医学部附属病院 精神神経科
- 平成13年6月〜平成15年5月 財団法人 金森和心会 針生々丘病院 精神科
- 平成15年6月〜平成17年5月 医療法人社団 柏水会 初石病院 精神科
- 平成17年6月〜平成18年12月 医療法人社団 健仁会 手賀沼病院 精神科
- 平成19年1月〜 医療法人遮断 一秀会 葛飾橋病院 理事長
- 精神保健指定医
- 認定精神科医
- 日本精神神経学会専門医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会会員
- 日本精神科病院協会 会員
- 東京精神科病院協会 会員
- 東京都病院協会 会員
- ル・ソラリオン葛飾非常勤(嘱託)医師