身近にうつ病だと自分で言う人がいると、どのように接すればよいか悩む方が多いのではないでしょうか。
相手が本当に苦しんでいるのか、あるいは周囲の関心を求めているのか判断が難しいというケースもあるでしょう。
この記事では、うつ病だと自分で言う人の心理的背景や特徴、そして適切な接し方や注意点を分かりやすく解説します。
自分の話を聞いてほしい、1人で解決できずに困っている悩みがあるなど、周りに助けを求めるという心理状態からうつ病だと自分で言う場合もあります。
特に普段、人を頼らず、自分で何でもこなす人がうつ病かもと自分で言っているときは、かなり精神的に追い詰められている状態だと思っておいたほうがよいでしょう。
自分で何でも解決する人は責任感が強く、他人に助けを求めることに大きな抵抗感を持っています。
実は責任感が強い人はうつ病になりやすいため注意が必要です。
うつ病だと自分で言う人を本物か嘘か見抜く方法
うつ病だと自分で言う人の中には、本当にうつ病なのだろうかと疑念を抱いていしまう場合もあるでしょう。
うつ病は外見判断できない病気なので、本当にうつ病かを見抜くのはかなり難しいですが、うつ病について理解を深めておくことで相手が嘘をついているか本当にうつ病になっているかをある程度判断できます。
正式な診断を受けているかを確認
うつ病と自分で言う人が本当か嘘かを見抜く方法として、もっとも簡単かつ確実なのは医師の診察で、正式にうつ病と診断されているかどうかを確認することです。
本当に自分の状態を理解してほしいと相手が考えているならば、診断書を提示してくれる可能性は高いです。
もし医師からの診断書を提示するよう求めても断ってくるならば、相手は嘘をついている可能性がかなり高いでしょう。
ただし、診断書を提示することに抵抗を感じる人が一部存在することも理解しておきましょう。
うつ病の多様なタイプを理解する
うつ病にはさまざまなタイプがあり、大きく3つに分けられます。
- 典型的なうつ病
- 非定型方うつ病
- 双極性障害
典型的なうつ病 | 非定型うつ病 | 双極性障害 | |
---|---|---|---|
主な特徴 | 快楽消失・罪悪感 | 倦怠感・対人過敏 | 気分の波が激しい |
睡眠 | 早朝覚醒 | 過眠 | 過眠型は不眠 |
食欲 | 減る(食欲不振) | 増える(過食) | 変動あり |
発症年齢 | 30~50代 | 10~30代 | 10代後半~20代 |
治療 | 抗うつ薬・休養など | 抗うつ薬・心理療法など | 気分安定薬・抗精神病薬中心 |
気分反応性 | なし | あり | 乏しいことが多い |
典型的なうつ病
典型的なのうつ病は、気分の落ち込みや興味の喪失が続き、通常の精神状態だと楽しいと思えた出来事に対しても気分が上がりずらいといった特徴があります。
睡眠は不眠が多く、食欲は低下する場合が多いです。
発症年齢は30~50代と働き盛りや子育て中の方に多く、生活・仕事に大きな支障をきたす場合が少なくありません。
非定型うつ病
非定型うつ病は、良いことがあったり趣味の時間に対しては一時的に気分が上がる「気分反応性」が最大の特徴です。
通常のうつ病とは真逆で過眠や過食が見られることが多く、身体のだるさや対人関係に対して過敏に反応するといった症状もよく見られます。
発症は若年層に多く、10代後半から20代の方が多いです。
双極性障害
双極性障害は、うつ状態と躁状態を繰り返すのが最大の特徴です。
うつ状態では典型的な抑うつ状態が表れ、躁状態では過度な自信や活動性の高まりが目立ちます。
睡眠は躁状態では短くなり、うつ状態では不眠または過眠が目立ちます。
発症は思春期から30代に多いです。
表情や言動に注目する
うつ病だと自分で言う人の表情や言動に注目することも、本当か嘘かを見分ける方法のひとつです。
うつ病の人は周りに気づかれまいと無理に明るく振る舞っていても、表情に疲労感や活気のなさが現れやすく、声のトーンが小さくなったり会話が途切れがちになったりします。
また、行動面では賞味に対して関心が著しく薄れたり、外出や人付き合いを極力避ける傾向が目立ちます。
ただし、表情や言動だけでうつ病が本当か嘘かを完璧に見極めることは不可能です。
あくまでも参考程度に受け止めるようにしましょう。
うつ病だと自分で言う人への周囲が注意すべきこと
うつ病だと自分で言う人が身近にいる場合、注意して接しなければ症状が悪化したり、関係が悪くなって交流そのものが途絶える可能性もあります。
接する際の注意点について解説します。
否定的な言葉は避ける
うつ病だと言う人に対しては、否定的な言葉は避けるようにしましょう。
うつ病の人は常に罪悪感に襲われています。
否定的な意見を聞いた場合、普段以上に過敏に反応するため、症状が悪化する可能性が極めて高いです。
安易な励ましや助言は避ける
うつ病で精力的に動けない人に対して、頑張れと励ますことは正しいと感じている人もいるかもしれませんが、気軽な励ましや助言がかえって相手の精神を傷つけてしまうこともあります。
うつ病の発症の原因のひとつが「頑張りすぎ」です。
頑張りすぎの人に対して、気軽な励ましや助言は避けるようにしましょう。
この記事の監修
ーごあいさつー
葛飾橋病院は昭和32年の開院以来、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。
当コラム記事ではさまざまな心の病を持っている方のお手伝いができればと考えています。
- 平成12年4月〜平成13年5月 東京大学医学部附属病院 精神神経科
- 平成13年6月〜平成15年5月 財団法人 金森和心会 針生々丘病院 精神科
- 平成15年6月〜平成17年5月 医療法人社団 柏水会 初石病院 精神科
- 平成17年6月〜平成18年12月 医療法人社団 健仁会 手賀沼病院 精神科
- 平成19年1月〜 医療法人遮断 一秀会 葛飾橋病院 理事長
- 精神保健指定医
- 認定精神科医
- 日本精神神経学会専門医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会会員
- 日本精神科病院協会 会員
- 東京精神科病院協会 会員
- 東京都病院協会 会員
- ル・ソラリオン葛飾非常勤(嘱託)医師