コラム

20代の彼氏がEDかも?原因・NG言動・正しい支え方【医師監修】

20代の彼氏がEDかもしれない人向けに原因や支え方を解説する医師監修ガイドのアイキャッチ画像
尾内隆志 医師の顔写真

この記事の監修者

尾内 隆志(おない たかし) Takashi Onai, M.D.
  • 資格:公益社団法人 日本精神神経学会 精神科専門医
  • 所属・役職:医療法人社団 一秀会 葛飾橋病院 理事長(院長
  • 専門分野:臨床精神科医学一般、EDに伴う心理的側面
  • 医籍登録:医師免許取得:平成12年5月(医籍登録番号:409881)
学歴・職歴(要点を表示)

学歴

  • 郁文館高等学校(平成3年4月〜平成6年3月)
  • 聖マリアンナ医科大学 医学部医学科(平成6年4月〜平成12年3月)

職歴

  • 東京大学医学部附属病院 精神神経科(平成12年4月〜平成13年5月)
  • 針生ヶ丘病院 精神科(平成13年6月〜平成15年5月)
  • 初石病院 精神科(平成15年6月〜平成17年5月)
  • 手賀沼病院 精神科(平成17年6月〜平成18年12月)
  • 葛飾橋病院 理事長(平成19年1月〜現在)

理事長/院長よりご挨拶:
昭和32年の開院以来、地域の皆様に支えられ半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。社会や生活スタイルの変化に伴い精神医療も大きく変化しています。私たちは優しく開かれた医療をめざし、地域に根ざした活動を推進し、患者様・ご家族に安心いただけるホスピタルづくりに尽力してまいります。

監修範囲

本記事のうち、精神科医の観点が関与する記述(EDに関連する心理的側面・受診の不安軽減・受診行動に関する助言等)について、事実関係と表現の妥当性を確認しました。医学的一般情報であり、特定の診断・治療の保証を行うものではありません。

  • 利益相反:申告すべき利益相反はありません。
  • 最終更新:

彼氏との大切な時間。それなのに、最近うまくいかないことがある…。
「もしかして、ED(勃起不全:ぼっきふぜん)…?」


大切なパートナーだからこそ、どうしていいか分からず、不安で胸が張り裂けそうになっているかもしれません。

結論として、彼氏が20代でEDになるのは決して珍しいことではなく、その原因の多くはストレスなどの心因性のものです。

あなた一人で抱え込まず、正しい知識をもって彼に寄り添うことが、解決への何よりの近道です。

この記事では、精神科専門医の監修のもと、彼の繊細なプライドを傷つけることなく、二人でこの問題を乗り越えていくための具体的な方法を、一つひとつ丁寧に解説します。

この記事を読めば、以下の3つのことがわかります。

  1. 20代のEDの主な原因と、あなたが自分を責める必要がない理由
  2. 彼をサポートするために「彼女ができること」と「絶対にしてはいけないNG言動」
  3. 二人でEDを乗り越えるための具体的なステップと専門家への相談方法

どうか一人で悩まないでください。この記事が、あなたと彼氏の関係がより良い方向へ進むための、最初の一歩となることを心から願っています。

目次
  1. もしかして彼氏がED…? 不安なあなたへ、まず知ってほしいこと
  2. なぜ? 20代のED、その原因のほとんどは「心」の問題【精神科医が解説】
  3. 彼を傷つけずに支えたい。パートナーとして「今すぐできること」5つのステップ
  4. 関係を壊さないために。彼氏がEDのときの「絶対NGな言動」
  5. 「辛い」「冷めた」と感じてしまう… あなた自身の心のケア方法
  6. 二人で乗り越える。今日から始められる具体的な改善策
  7. 専門クリニックではどんな治療をするの?費用や流れを解説
  8. 彼氏のEDに関するよくある質問【専門家が回答】
  9. まとめ:一人で抱え込まず、彼と向き合うことから始めよう

もしかして彼氏がED…? 不安なあなたへ、まず知ってほしいこと

彼氏の不調に気づいたとき、「私のせいなのかな」「魅力がなくなったのかな」と、ご自身を責めてしまう方は少なくありません。しかし、まず最初にお伝えしたいのは、あなたは何も悪くないということです。

このセクションでは、あなたの不安な気持ちに寄り添い、状況を客観的に見つめ直すための基本的な情報をお伝えします。

「私のせい…?」自分を責める必要は全くありません

パートナーのEDは、女性にとって非常にショックな出来事です。そして、その原因が自分にあるのではないかと考えてしまうのは、とても自然なことです。

体験談

私がカウンセラーとしてお話を伺う中でも、このようなお悩みは後を絶ちません。以前、カウンセリングに来られた20代の女性も、最初は「私が彼を満足させられないからだ」と涙ながらに話していました。

しかし、EDについて正しく理解し、彼とのコミュニケーション方法を少し変えただけで、二人の関係が劇的に改善したケースがあるのです。

大切なのは、EDは決して愛情のバロメーターではないと知ること。まずは自分を責める手を止め、正しい知識を身につけることから始めましょう。

EDは非常にデリケートな問題であり、その原因は複雑に絡み合っています。あなたの魅力や愛情とは、全く別の次元で起こっている現象なのです。

実は20代でもEDになる男性は少なくない

「EDはもっと年配の男性の問題だと思っていた」という声をよく聞きます。しかし、それは誤解です。実は、若い世代でもEDに悩む男性は決して少なくありません。

日本性機能学会の2023年発表の調査によると、20〜24歳男性の約4人に1人(26.6%)がEDの症状を経験していると報告されています。 特に現代社会は、年齢に関わらず多くのストレスに晒されるため、心身のバランスを崩しやすい環境にあると言えるでしょう。

彼に起きていることは、決して特別なことではないのです。この事実を知るだけでも、少し心が軽くなるのではないでしょうか。

彼がEDかもしれないと感じるサインとは?セルフチェックリスト

EDとは、医学的には「満足な性交を行うのに十分な勃起を得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること」と定義されています。

もし、彼との間で以下のようなことが続いているなら、EDのサインかもしれません。二人で客観的に状況を確認するために、チェックリストを活用してみてください。

EDの可能性を判断する7つのチェックリスト

チェック項目はいいいえ
1. 性的な興奮をしても、全く勃起しないことがある
2. 勃起はするが、硬さが不十分で挿入できないことがある
3. 挿入はできても、途中で萎えてしまうことがある
4. 勃起を維持するために、かなりの集中力が必要だと感じる
5. 朝勃ち(早朝勃起)の頻度が減った、またはなくなった
6. 性行為に対する自信がなく、不安を感じることが多い
7. 最近3ヶ月以上、このような状態が続いている

※このリストはご自身の状況を把握するための一助とするもので、医学的な診断に代わるものではありません。当てはまる項目が多い場合は、必ず専門の医療機関を受診してください。

このチェックリストは、彼を責めるためのものではありません。あくまで現状を把握し、次の一歩を考えるためのツールとして使ってください。

この記事の監修者紹介:精神科専門医 尾内隆志先生

この記事は、読者の皆様に正確で信頼できる情報をお届けするため、精神医療の専門家である尾内隆志先生に監修いただいています。20代のEDの多くは心理的な要因が関わるため、精神科医の知見は非常に重要です。

監修者プロフィール

  • 氏名: 尾内 隆志(おない たかし)
  • 所属/役職: 医療法人社団 一秀会 葛飾橋病院 / 理事長
  • 資格: 公益社団法人日本精神神経学会 精神科専門医
  • 経歴: 聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、東京大学医学部付属病院などで豊富な臨床経験を積む。

尾内先生の専門的な視点からのアドバイスも記事の随所に盛り込んでいますので、安心して読み進めてください。

なぜ? 20代のED、その原因のほとんどは「心」の問題【精神科医が解説】

20代という若さでなぜEDに? その最大の原因は、実は身体的な問題よりも「心」の問題であることが多いと考えられています。

このセクションでは、精神科医の知見を交えながら、彼の心の中で何が起きているのかを深く掘り下げていきます。原因を正しく理解することが、的確なサポートへの第一歩となります。

20代のEDは、心理的要因が主因とされています

EDの原因は、大きく分けて2種類あります。

  1. 心因性(しんいんせい)ED: ストレス、不安、プレッシャー、トラウマといった心理的な要因が引き起こすED。
  2. 器質性(きしつせい)ED: 糖尿病や高血圧などの生活習慣病、加齢による血管の老化、神経の損傷など、身体的な問題が原因で起こるED。

この年代のEDは、その大半がストレスや不安といった心理的要因が主因とされています。

しかし、稀に身体的な原因が隠れている可能性もあるため、専門医に相談し、適切な診断を受けることが重要です。彼の身体に何か重大な欠陥があるわけではないケースが大多数ですが、自己判断はせず、正確な原因を知ることが大切です。

彼が抱えているかもしれない5つの心理的プレッシャー

では、具体的にどのような心理的要因が彼を追い詰めているのでしょうか。あなたが彼の状況を理解しやすくするために、代表的な5つの心理的プレッシャーを解説します。

  1. 仕事や将来へのストレス・不安
    社会人として数年が経ち、責任ある仕事を任されたり、将来のキャリアについて考えたりする20代は、多くのストレスを抱える時期です。仕事のプレッシャーや将来への漠然とした不安が、性的パフォーマンスに影響を与えることは少なくありません。
  2. 「彼女を満足させないと」というパフォーマンスへのプレッシャー
    これは非常に多く見られる原因です。「愛する彼女をがっかりさせたくない」「最高に気持ちよくさせたい」という強い想いが、いつしか「失敗してはいけない」という過度のプレッシャーに変わってしまうことがあります。
  3. 過去の失敗体験によるトラウマ
    たった一度の失敗が、心に深い傷を残すことがあります。「またダメだったらどうしよう」という不安(予期不安)が脳裏をよぎり、それが現実になってしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
  4. 二人の関係性における悩み
    喧嘩が続いている、将来についての考えがすれ違っているなど、パートナーとの関係性に悩みを抱えていると、心からリラックスできず、性的な興奮を感じにくくなることがあります。
  5. 自信の喪失
    仕事での失敗や、他人との比較など、性的なこと以外で自信を失っている状態も、EDの引き金になります。心全体のエネルギーが低下していると、性的なエネルギーも自然と低下してしまうのです。

尾内医師のコメント

若年層の心因性EDは、真面目で責任感の強い男性ほど陥りやすい傾向があります。パートナーへの想いが強いからこそ、それが『期待に応えなければ』というプレッシャーになってしまうのです。決して愛情がなくなったわけではなく、むしろ愛情があるからこその悩みであるケースが非常に多いことを、パートナーの方にはぜひ知っていただきたいですね。

見逃さないで!生活習慣に隠されたEDのリスク

心因性が主な原因とはいえ、日々の生活習慣が心身のコンディションに影響を与え、EDのリスクを高めることもあります。彼の生活を思い浮かべながら、当てはまるものがないかチェックしてみてください。

  • 睡眠不足: 質の良い睡眠は、自律神経のバランスを整え、男性ホルモンの分泌を促すために不可欠です。
  • 食生活の乱れ: 栄養バランスの偏った食事は、血液循環の悪化やホルモンバランスの乱れにつながります。
  • 運動不足: 適度な運動は、血流を改善し、ストレス解消にも効果的です。デスクワーク中心の生活は特に注意が必要です。
  • 過度な喫煙・飲酒: 喫煙は血管を収縮させ、血流を悪化させるEDの大きなリスク因子です。過度なアルコール摂取も、神経の働きを鈍らせることが知られています。

これらの生活習慣の乱れは、それ自体が直接的な原因になるというよりは、心因性EDの引き金を引いたり、症状を悪化させたりする要因になると考えられています。

彼自身、自分の状況をどう感じているのか

あなたが不安を感じているように、いや、もしかしたらそれ以上に、彼自身が深く傷つき、悩んでいるかもしれません。男性にとって、勃起不全は自身のプライドや存在価値を揺るがすほどの深刻な問題になり得ます。

彼はおそらく、「情けない」「男として失格だ」「彼女に嫌われたかもしれない」といった焦りや不安、自己嫌悪の感情でいっぱいになっている可能性があります。口に出さなくても、心の中では必死に平静を装っているのかもしれません。

だからこそ、パートナーであるあなたが彼の気持ちを理解しようと努めることが、何よりも大切になります。彼の言動の裏にある、傷ついた心に寄り添う姿勢が、解決への第一歩となるのです。

彼を傷つけずに支えたい。パートナーとして「今すぐできること」5つのステップ

原因が分かっても、「具体的にどうすればいいの?」と悩んでしまいますよね。

ここからは、あなたが彼の繊細なプライドを傷つけることなく、最高のサポーターになるための具体的なアクションプランを5つのステップでご紹介します。焦らず、一つひとつ試してみてください。

ステップ1:まずは受け入れる姿勢を見せる

彼がEDかもしれないと感じたとき、最も大切なのは「何があっても、あなたの味方だよ」という姿勢を示すことです。彼が最も恐れているのは、あなたに拒絶されたり、軽蔑されたりすることかもしれません。

まずは、安心できる雰囲気作りを心がけましょう。うまくいかなかったとしても、ため息をついたり、不機嫌な顔をしたりせず、いつも通りに接することが重要です。

「疲れてるのかな?」「今日はゆっくり休もうか」と、彼のコンディションを気遣う言葉をかけるのも良いでしょう。あなたが動じない姿を見せることで、彼は少しだけ救われた気持ちになるはずです。

ステップ2:彼から話してくれるのを「待つ」勇気

この問題について、あなたから積極的に問い詰めるのは避けましょう。「最近どうしたの?」「もしかしてEDなの?」といった直接的な質問は、彼のプライドを深く傷つけ、心を閉ざさせてしまう原因になります。

大切なのは、彼が自らこのデリケートな問題について話せるような、安全な環境を整え、「待つ」勇気を持つことです。

普段の会話の中で、「最近、仕事忙しそうだね」「何か悩みがあったら、いつでも聞くからね」といった、彼を気遣う言葉を伝えておきましょう。

あなたが信頼できる聞き手であることを示しておくことで、彼もいつか勇気を出して話してくれるかもしれません。

ステップ3:もし話してくれたら「共感」と「肯定」を伝える

彼が勇気を出して悩みを打ち明けてくれたら、それは二人の関係にとって大きな前進です。この貴重な瞬間を、絶対に無駄にしてはいけません。彼が求めているのは、アドバイスや解決策ではなく、まずは「共感」と「肯定」です。

以下の言葉を参考に、彼の気持ちを受け止めてあげてください。

  • 「話してくれて、本当にありがとう。すごく勇気がいったよね。」(彼の行動を肯定する)
  • 「一人で抱えて、つらかったね。」(彼の感情に共感する)
  • 「あなたが悩んでいるのは、よく分かったよ。」(理解しようとする姿勢を見せる)

決して、「そんなこと気にする必要ないよ」と彼の悩みを軽視したり、「こうすればいいんじゃない?」と安易なアドバイスをしたりしないように注意しましょう。

まずは、彼の言葉を最後まで聞き、その勇気と苦しみに寄り添うことが最も重要です。

ステップ4:「二人で一緒に考えよう」というメッセージを伝える

彼の悩みを受け止めたら、次に伝えるべきは「これはあなた一人の問題ではなく、二人の問題だよ」というメッセージです。多くの男性は、EDを自分だけの責任だと感じ、孤立感を深めてしまいます。

「これからどうしていくか、二人で一緒に考えよう」「私はあなたのパートナーだから、良いことも悪いことも全部一緒に乗り越えたい」といった言葉を伝えることで、彼は孤独から解放され、前向きな気持ちを取り戻すきっかけを得られるかもしれません。

この「二人の問題」という視点は、今後の関係性においても非常に重要な基盤となります。

ステップ5:性行為以外の愛情表現を増やす

EDの問題が起きると、性行為そのものがプレッシャーになりがちです。そんな時だからこそ、性行為以外の愛情表現を意識的に増やしてみましょう。

  • 手をつなぐ
  • ハグをする
  • キスをする
  • マッサージをし合う
  • 「好きだよ」「いつもありがとう」と言葉で伝える

これらのスキンシップやコミュニケーションは、彼に「性行為がなくても、僕の価値は変わらないんだ」「愛されているんだ」という安心感を与えます。

結果的に、パフォーマンスへのプレッシャーが和らぎ、症状の改善につながることも少なくありません。

尾内医師のコメント

パートナーとのコミュニケーションで最も重要なのは、彼を評価しないことです。『なぜできないの?』と原因を追及するのではなく、『どうすれば二人が心地よくいられるか』という未来志向の対話を心がけてみてください。性行為がゴールではなく、二人の親密さを深めるための一つの手段に過ぎない、という共通認識を持てると、お互いがずっと楽になるはずです。

関係を壊さないために。彼氏がEDのときの「絶対NGな言動」

良かれと思ってかけた言葉や態度が、知らず知らずのうちに彼を深く傷つけてしまうことがあります。ここでは、彼の繊細な心を壊さないために、絶対に避けるべきNGな言動を5つご紹介します。

悪気はなくても、これらの言動は彼の自信をさらに奪い、問題の解決を遠ざけてしまう可能性があります。

彼のプライドを傷つける言葉:「なんで?」「またダメだったね」

うまくいかなかったときに、原因を追及するような「なんで?」という言葉や、失敗を指摘する「またダメだったね」という言葉は、彼のプライドを最も傷つけます。彼は自分でも分かっており、誰よりも自分を責めています。

そこに追い打ちをかけるような言葉は、彼の心を完全に閉ざさせてしまうでしょう。

プレッシャーを与える言動:「次は頑張ってね」「期待してる」

彼を励ますつもりで言った「次は頑張ってね」という言葉も、実は逆効果です。彼にとっては、「次は絶対に失敗できない」という強烈なプレッシャーになってしまいます。

「期待してる」という言葉も同様です。期待が大きければ大きいほど、失敗したときの彼の絶望感は深くなります。

自分を責める姿を見せる:「私の魅力がないから…」

「私のせいでごめんね」「魅力がなくて…」とあなたが自分を責める姿を見せるのも、彼にとっては大きな負担になります。彼は自分の問題であなたを悲しませていると感じ、さらに罪悪感を抱いてしまいます。

あなたを慰めるために、無理に「君のせいじゃないよ」と言わなければならない状況も、彼にとっては辛いものです。

無理に励まそうとすること:「元気出して!」「気にしないで!」

彼の落ち込んでいる姿を見るのは辛いかもしれませんが、「元気出して!」「気にしないで!」といった安易な励ましは、彼の深い悩みを軽視していると受け取られかねません。「こんなに悩んでいるのに、分かってくれないんだ」と、二人の間に溝を作ってしまう可能性があります。

悩みを無視するのではなく、まずは受け止めることが大切です。

他の男性と比較すること

これは言うまでもありませんが、絶対に避けるべきです。「友達の彼氏は〜」「前の彼氏は〜」といった、他の男性と比較するような発言は、彼の尊厳を根底から破壊します。

たとえ冗談のつもりでも、彼の心には深く突き刺さり、修復不可能なダメージを与えかねません。

「辛い」「冷めた」と感じてしまう… あなた自身の心のケア方法

彼のことを心配する一方で、「なんで私ばっかり」「正直、辛い…」と感じてしまう瞬間もあるかもしれません。時には、彼に対して愛情が冷めたように感じてしまうこともあるでしょう。

そんなネガティブな感情が湧き上がるのは、決してあなたが悪いわけではありません。あなた自身の心をケアすることも、この問題を乗り越えるために非常に重要です。

ネガティブな感情が湧くのは自然なこと。自分を責めないで

パートナーとして彼を支えたいと思う一方で、女性としての欲求が満たされなかったり、将来への不安を感じたりするのは、人間としてごく自然な感情です。

まずは、「辛いと感じてしまう自分はダメだ」と責めるのをやめましょう。自分の感情を否定せず、「そっか、今、私は辛いんだな」と、ありのままに受け止めてあげてください。

信頼できる友人に話してみる

この問題を一人で抱え込むのは、精神的に非常につらいものです。もし、口が堅く、あなたの気持ちを親身になって聞いてくれる友人がいるなら、勇気を出して相談してみるのも一つの方法です。

誰かに話すだけで、気持ちが整理されたり、客観的な意見をもらえたりして、心が少し軽くなることがあります。ただし、相談相手は慎重に選ぶようにしましょう。

二人の関係から少し距離を置き、自分の時間も大切にする

四六時中、彼のことばかり考えていると、精神的に疲弊してしまいます。意識的に、二人の関係から少し距離を置き、あなたが心から楽しめる時間を作りましょう。

趣味に没頭したり、友人と出かけたり、一人で旅行に行ったりするのも良いでしょう。

あなたが自分自身の人生を楽しむことで、心に余裕が生まれ、彼に対しても穏やかな気持ちで接することができるようになります。

専門のカウンセリングを利用する選択肢も

もし、二人だけで解決するのが難しいと感じたり、あなたの精神的な負担が大きすぎると感じたりしたときは、専門家の力を借りるのも賢明な選択です。

  • カップルカウンセリング: 専門家を交えて、二人のコミュニケーションの課題や、この問題への向き合い方について話し合うことができます。
  • 個人カウンセリング: まずはあなた自身の心の負担を軽くするために、カウンセラーに話を聞いてもらうのも有効です。

公的な相談窓口や、オンラインで受けられるカウンセリングサービスもあります。専門家はあなたのプライバシーを厳守しますので、安心して相談してみてください。

二人で乗り越える。今日から始められる具体的な改善策

彼の心を理解し、あなた自身の心もケアできるようになったら、次は問題解決に向けた具体的なアクションを起こしていきましょう。焦る必要はありません。二人のペースで、今日から始められることから試してみてください。

【二人でできる】リラックスできる時間を作る

心因性EDの改善には、何よりもリラックスが大切です。性行為から一度離れて、二人で心から楽しめる時間を増やしましょう。

  • 共通の趣味を楽しむ: 一緒に映画を観たり、ゲームをしたり、料理をしたり。
  • 旅行や日帰り温泉に出かける: 日常から離れることで、気分転換になります。
  • お互いにマッサージをし合う: 言葉を介さない、優しいスキンシップは心を癒します。

大切なのは、「〜しなければならない」という義務感から解放されることです。二人が自然体で笑い合える時間を増やすことが、結果的にプレッシャーを和らげることに繋がります。

【彼ができる】生活習慣の見直しをサポートする

心因性の問題が主とはいえ、身体のコンディションを整えることも重要です。彼の生活習慣の改善を、あなたもサポートしてあげましょう。

  • 食事: バランスの取れた食事を心がけ、一緒に健康的な料理を作るのも楽しいかもしれません。
  • 運動: ウォーキングやジョギングなど、軽い運動に誘ってみましょう。気分転換にもなります。
  • 睡眠: 彼がゆっくり休めるように、寝室の環境を整えるなどの協力ができます。

ただし、「あれはダメ」「これをしなさい」と管理するような態度は避けましょう。あくまで、「二人の健康のために、一緒にやってみない?」というスタンスで提案するのがポイントです。

【勇気を出して】専門クリニックへの相談を提案する

セルフケアだけでは改善が見られない場合や、彼が深刻に悩んでいる場合は、専門のクリニックへの相談が最も確実な解決策となります。しかし、男性にとってそのハードルは非常に高いものです。

提案する際は、彼のプライドに最大限配慮した言葉選びが求められます。

<提案の切り出し方・例文>

「いつもお仕事お疲れ様。最近、少し元気がないように見えて心配で…。もし、あなたが何か悩んでいることがあるなら、私、一緒に向き合いたいと思ってる。この前のこと(EDのこと)も、あなただけの問題じゃないよ。二人の将来のためにも、一度、専門家の人の話を一緒に聞いてみないかな?今は、スマホで家から相談できるところもあるみたいだよ。」

このように、彼を気遣う気持ちと、「二人の問題」であること、そしてオンライン診療のようなハードルの低い選択肢があることをセットで伝えるのが効果的です。

専門クリニックではどんな治療をするの?費用や流れを解説

「病院に行く」と聞くと、なんだか大事に感じて不安になるかもしれません。しかし、ED治療は決して特別なものではありません。ここでは、専門クリニックでの治療の流れや費用について、概要を分かりやすく解説します。

事前に知っておくことで、彼もあなたも安心して一歩を踏み出せるはずです。

ED治療の流れ:問診から処方まで

一般的なED専門クリニックでは、プライバシーに最大限配慮しながら、以下のような流れで診察が進みます。

  1. 予約:
    電話やWEBサイトから予約します。オンライン診療の場合は、そのままスマホやPCで手続きが完結します。
  2. 問診:
    医師が症状や生活習慣、悩みについて詳しくヒアリングします。パートナーであるあなたが同席することも可能です。
  3. 診察:
    必要に応じて、簡単な身体診察や血圧測定などを行いますが、多くの場合、服を脱ぐような診察はありません。
  4. 治療方針の説明と処方:
    医師が症状や体質に合ったED治療薬や治療法を提案し、納得の上で処方されます。
  5. お会計・アフターフォロー:
    薬を受け取り、お会計を済ませます。服用後の経過について、フォローアップがあるクリニックもあります。

主な治療法:ED治療薬について

心因性EDの治療では、「一度でも成功体験を得ること」が非常に重要です。その自信を取り戻すきっかけとして、ED治療薬非常に有効です。

ED治療薬は、性的興奮があった際に、陰茎への血流をスムーズにし、勃起をサポートする薬です。決して、無理やり勃起させる薬ではありません。代表的なものには以下のような種類があります。

  • バイアグラ: 世界で最初のED治療薬。知名度が高く、服用後30分〜1時間ほどで効果が現れます。
  • シアリス: 効果の持続時間が最大36時間と長いのが特徴。服用タイミングの自由度が高いです。
  • レビトラ: かつて代表的な治療薬でしたが、現在日本国内での供給は停止されています。

どの薬が合うかは、医師が彼のライフスタイルや希望を聞きながら判断してくれます。

かかる費用の目安は?保険は適用される?

ED治療は、一部の不妊治療などを除き、基本的には公的医療保険が適用されない自由診療となります。費用は全額自己負担となり、クリニックによって異なります。

<費用の目安>

  • 初診料・再診料: 0円〜3,000円程度
  • ED治療薬(1錠あたり): 1,000円〜2,000円程度

最近では、初診料を無料にしているクリニックも増えています。事前に公式サイトなどで料金体系を確認しておくと安心です。

オンライン診療という選択肢

「クリニックに行くのは恥ずかしい」「忙しくて時間がない」という彼にとって、オンライン診療は非常に心強い選択肢です。

  • スマホやPCで完結: 自宅にいながら、ビデオ通話などで医師の診察を受けられます。
  • 薬が自宅に届く: 処方された薬は、プライバシーに配慮した梱包で自宅のポストなどに届きます。
  • 待ち時間なし: 予約した時間に診察を受けられるため、忙しい彼でも利用しやすいです。

この手軽さが、治療への第一歩を踏み出す大きな後押しになることは間違いありません。

彼氏のEDに関するよくある質問【専門家が回答】

ここでは、パートナーの皆さんが抱きがちな細かな疑問について、専門家の視点からQ&A形式でお答えします。

Q. ED治療薬に副作用や依存性はありますか?

尾内医師の回答

どのような薬にも副作用のリスクはありますが、医師の指導のもと正しく服用すれば、ED治療薬は安全性の高い薬です。主な副作用としては、顔のほてり、目の充血、頭痛、動悸などが報告されていますが、いずれも一時的で軽いものがほとんどです。

また、精神的な依存、つまり『薬がないとダメだ』と思い込んでしまう可能性はゼロではありません。しかし、心因性EDの場合、薬を使って成功体験を重ねることで自信がつき、最終的には薬がなくても大丈夫になる『卒業』を目指すのが治療のゴールです。身体的な依存性はありませんので、ご安心ください。

Q. 彼女から病院を勧めるのは、やりすぎでしょうか?

A. いいえ、決してやりすぎではありません。

ただし、伝え方が非常に重要です。本記事の関係を壊さないために。彼氏がEDのときの「絶対NGな言動」でご紹介したように、彼を責めるのではなく、「二人の問題として一緒に考えたい」という愛情と気遣いに満ちたスタンスで提案することが大切です。

「あなたのために」ではなく「私たちのために」という視点を忘れないでください。

Q. 治療すれば、すぐに治るものなのでしょうか?

A. ED治療薬を使えば、その日の性行為は成功する可能性が非常に高いです。

しかし、心因性EDの根本的な解決には、少し時間がかかることもあります。薬による成功体験をきっかけに、自信を取り戻し、ストレスやプレッシャーの原因と向き合っていくことが重要です。

焦らず、彼のペースに合わせて、長い目で見守ってあげる姿勢が大切になります。

Q. パートナーとして、治療中にできることはありますか?

A. 最高のサポートは、治療の結果に一喜一憂しないことです。

薬を飲んでうまくいったとしても、「やっぱり薬はすごいね!」と薬の効果ばかりを強調するのは避けましょう。

うまくいかなかったとしても、決して彼を責めないでください。「一緒にいられるだけで幸せだよ」という、無条件の愛情を伝え続けることが、何よりの薬になります。

まとめ:一人で抱え込まず、彼と向き合うことから始めよう

ここまで、20代の彼氏がEDかもしれないと悩むあなたのために、原因から具体的な対処法まで詳しく解説してきました。一番お伝えしたいのは、あなたは一人ではないということです。

体験談

私たちが取材やカウンセリングでお会いした多くの方が、この問題を一人で、暗いトンネルの中にいるような気持ちで抱え込んでいました。

しかし、専門家による正しい情報を得て、勇気を出してパートナーと共有することで、状況が好転し始めています。この記事が、あなたのその、勇気ある最初の一歩になることを願っています。

最後に、この記事の重要なポイントをチェックリストにまとめました。今後の行動の参考にしてください。

彼氏のEDに悩んだときのパートナー行動チェックリスト

カテゴリチェック項目
✅ 心構え自分のせいでEDになったわけではないと理解する
20代のEDは珍しいことではないと知る
これは「二人の問題」であると捉える
⭕️ やるべきこと (DO)何があっても受け入れる姿勢を見せる
彼の言葉に「共感」と「肯定」で応える
性行為以外の愛情表現を増やす
❌ やってはいけないこと (DON’T)「なんで?」「また?」と彼を問い詰めない
「次は頑張って」とプレッシャーを与えない
自分を責める姿を彼に見せない

このデリケートな問題は、二人の絆を壊す危機にもなれば、逆により深く結びつくためのきっかけにもなります。

勇気を出して、専門家に相談してみませんか

もし、二人だけで解決の糸口が見つからないと感じたら、どうか専門家への相談をためらわないでください。専門家に相談することは、逃げではなく、二人にとっての希望ある一歩です。

最近は、スマホ一つで気軽に相談できるオンライン診療が充実しています。誰にも会わずに、自宅から専門医のアドバイスを受けることができます。

免責事項: 以下は利用可能なオンライン診療サービスの一例です。本記事が特定のクリニックを推奨・保証するものではありません。

  1. クリニックフォア :オンライン診療に特化しており、手軽な料金体系とスピーディーな対応が特徴です。忙しい彼や、まずは話だけ聞いてみたいという場合に適しています。
  2. イースト駅前クリニック :全国に主要駅から近いクリニックを展開しており、対面診療の実績が豊富です。もちろんオンライン診療にも対応しており、実績と安心感を重視するカップルにおすすめです。

彼の、そしてあなたの、つらい気持ちが少しでも軽くなるように。専門家の力を借りるという選択肢を、ぜひ二人で検討してみてください。

参考文献

この記事を書いた人

葛飾橋病院

葛飾橋病院では精神科、神経科、内科、放射線科、歯科と様々な診療、治療を行っています。職員一同心をひとつに合わせて、患者様、ご家族の皆さまに心から安心していただけるホスピタルづくりを進めており、地域に密着した精神科医療の活性化に尽力していきます。当ブログでは精神科を中心とした記事を作成し患者様の心を少しでも和らげられるような発信をしていきます。