コラム

【医師監修】国内承認ED治療薬3種を徹底比較|効果・持続時間・副作用・価格と選び方

医師監修 国内承認ED治療薬3種を徹底比較。効果・持続時間・副作用・価格と選び方を解説。バイアグラ・レビトラ・シアリスの錠剤イラストと男性のシルエットを背景にしたアイキャッチ画像
尾内隆志 医師の顔写真

この記事の監修者

尾内 隆志(おない たかし) Takashi Onai, M.D.
  • 資格:公益社団法人 日本精神神経学会 精神科専門医
  • 所属・役職:医療法人社団 一秀会 葛飾橋病院 理事長(院長
  • 専門分野:臨床精神科医学一般、EDに伴う心理的側面
  • 医籍登録:医師免許取得:平成12年5月(医籍登録番号:409881)
学歴・職歴(要点を表示)

学歴

  • 郁文館高等学校(平成3年4月〜平成6年3月)
  • 聖マリアンナ医科大学 医学部医学科(平成6年4月〜平成12年3月)

職歴

  • 東京大学医学部附属病院 精神神経科(平成12年4月〜平成13年5月)
  • 針生ヶ丘病院 精神科(平成13年6月〜平成15年5月)
  • 初石病院 精神科(平成15年6月〜平成17年5月)
  • 手賀沼病院 精神科(平成17年6月〜平成18年12月)
  • 葛飾橋病院 理事長(平成19年1月〜現在)

理事長/院長よりご挨拶:
昭和32年の開院以来、地域の皆様に支えられ半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。社会や生活スタイルの変化に伴い精神医療も大きく変化しています。私たちは優しく開かれた医療をめざし、地域に根ざした活動を推進し、患者様・ご家族に安心いただけるホスピタルづくりに尽力してまいります。

監修範囲

本記事のうち、精神科医の観点が関与する記述(EDに関連する心理的側面・受診の不安軽減・受診行動に関する助言等)について、事実関係と表現の妥当性を確認しました。医学的一般情報であり、特定の診断・治療の保証を行うものではありません。

  • 利益相反:申告すべき利益相反はありません。
  • 最終更新:

ED(勃起不全)の悩みは、非常にデリケートでありながら、多くの男性が抱える可能性のある問題です。特に働き盛りの年代では、日々のストレスや生活習慣が影響し、「以前のような自信が持てない」と感じる方も少なくありません。

しかし、正しい知識を持ち、適切な治療薬を選ぶことで、その悩みは解決へと導くことができます。

ED治療は、ご自身のライフスタイルや心身の状態に合った薬を選ぶことが成功の鍵です。

この記事では、精神科医・尾内隆志先生の監修のもと、日本国内で承認されている主要なED治療薬3種の効果や副作用を徹底的に比較し、あなたの悩みに寄り添った最適な薬の選び方を、医療ジャーナリストの視点から分かりやすく解説します。

この記事を最後までお読みいただくことで、以下の3つの点が明確になります。

  • 国内承認済みの主要なED治療薬3種(バイアグラ・レビトラ・シアリス)の効果・持続時間・副作用・費用の違い
  • あなたの目的や状況に応じた最適な薬の選び方
  • 副作用や偽造薬のリスクを避け、安全に治療を始める方法

一人で抱え込まず、まずは正しい情報を手に入れることから始めましょう。この記事が、あなたの自信を取り戻すための一助となれば幸いです。

目次
  1. ED治療を始める前に知っておきたい基礎知識
  2. 【一覧表】国内承認ED治療薬3種を徹底比較
  3. 目的・シーン別!あなたに最適なED治療薬の選び方
  4. 【精神科医が解説】ストレスや不安が原因?「心因性ED」と薬の効果
  5. 【最重要】ED治療薬の副作用と絶対に注意すべき3つのこと
  6. ED治療薬の安全な入手方法|オンライン診療という選択肢
  7. ED治療薬に関するよくある質問(FAQ)
  8. まとめ|一人で悩まず、専門家に相談して自信を取り戻しましょう

ED治療を始める前に知っておきたい基礎知識

ED治療薬について具体的な比較を始める前に、まずはEDそのものと、なぜ薬が効くのかについての基本的な知識を整理しておきましょう。ご自身の状態を客観的に理解することは、適切な治療法を選択するための第一歩です。

このセクションでは、EDの定義から主な原因、そして治療薬が作用するメカニズムまでを、専門用語を避けながら分かりやすく解説します。

ED(勃起不全)とは? もしかして自分も?と感じたら

EDとは、「Erectile Dysfunction」の略語で、日本語では「勃起不全」または「勃起障害」と訳されます。

日本泌尿器科学会が作成した「ED診療ガイドライン」によると、「満足な性行為を行うのに十分な勃起を得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること」と定義されています。

重要なのは、「完全に勃起しない」状態だけを指すわけではないという点です。「たまにうまくいかない」「途中で萎えてしまう(中折れ)」「硬さが足りないと感じる」といった状態も、EDの症状に含まれます。

年齢を重ねれば誰にでも起こりうる自然な変化の一部でもありますが、それが精神的なストレスになったり、パートナーとの関係に影響を与えたりするようであれば、治療を検討する価値は十分にあります。

もし、ご自身の状態に少しでも不安を感じるようであれば、それは決して特別なことでも、恥ずかしいことでもありません。日本性機能学会の2023年の調査によると、日本国内のED患者数は約1,400万人と推定されており、多くの男性が同様の悩みを抱えていることが示されています。

まずは客観的な事実として、ご自身の状態を受け止めることが大切です。

EDの主な原因は2つ|身体的な要因と心理的な要因(心因性ED)

EDが起こる原因は、一つだけとは限りません。多くの場合、複数の要因が複雑に絡み合っていますが、大きく分けると「身体的な要因(器質性ED)」と「心理的な要因(心因性ED)」の2つに大別されます。

1. 身体的な要因(器質性ED)
これは、身体のどこかに物理的な問題があって勃起が妨げられるケースです。主に以下の3つの系統に分けられます。

  • 血管系: 勃起は、陰茎の海綿体というスポンジ状の組織に血液が流れ込むことで起こります。動脈硬化や高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、血管を傷つけ、血流を悪化させるため、EDの直接的な原因となります。特に40代以降のEDでは、この血管系の問題が大きく関わっていることが多いです。
  • 神経系: 脳や脊髄から送られる性的興奮の指令が、神経を伝わって陰茎に届くことで勃起は始まります。糖尿病による神経障害、脳卒中、パーキンソン病、脊髄損傷、あるいは前立腺がんの手術後などは、この神経伝達を妨げ、EDを引き起こすことがあります。
  • 内分泌系: 男性ホルモン(テストステロン)の低下も、性欲の減退を通じてEDに関与することがあります。加齢やストレス、過度な肥満などが原因でホルモンバランスが乱れることが引き金となります。

2. 心理的な要因(心因性ED)
こちらは、身体的には何の問題もないのに、精神的なストレスや不安が原因で勃起できなくなるケースです。

  • パフォーマンス不安: 「過去に一度失敗した経験」がトラウマとなり、「次もまた失敗するのではないか」という強いプレッシャー(予期不安)が、かえって勃起を妨げてしまう悪循環です。
  • 精神的ストレス: 仕事上のプレッシャー、家庭内の問題、パートナーとの関係性の悩みなど、日常生活における様々なストレスが自律神経のバランスを乱し、性的興奮を感じにくくさせます。
  • うつ病などの精神疾患: うつ病や不安障害などの精神疾患は、性欲や性的機能に直接影響を与えることが知られています。

尾内 隆志 先生 (精神科専門医) のコメント

臨床の現場でも、特に働き盛りの40代・50代の患者さんでは、仕事のプレッシャーやパートナーとの関係など、心理的な要因がEDの引き金になるケースが非常に多いです。ご本人は『年齢のせいだ』と思い込んでいることもありますが、詳しくお話を伺うと、根底には深い精神的ストレスが隠れていることが少なくありません。これは決して珍しいことではなく、誰にでも起こりうることなのです。

ご自身の原因がどちらか一方だけだと断定するのは難しいことが多いです。例えば、加齢による身体的な衰えがきっかけで一度失敗し、それが精神的なプレッシャーとなって、さらに症状を悪化させる「混合型ED」も非常に多く見られます。

ED治療薬(PDE-5阻害薬)が効く仕組みを分かりやすく解説

では、バイアグラやシアリスといったED治療薬は、どのようにして勃起を助けてくれるのでしょうか。これらの薬は、専門的には「PDE-5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬」というグループに分類されます。

仕組みを簡単に説明すると、以下のようになります。

  1. 性的刺激を受けると、脳から指令が出て、陰茎の血管内で「cGMP」という物質が増加します。
  2. このcGMPが、陰茎の血管を広げる血管拡張作用ことで、陰茎海綿体への血流を増やし、勃起を引き起こします。
  3. 一方、体内には「PDE-5」という酵素が存在し、このcGMPを分解して勃起を収める(いわばブレーキ役)働きをします。
  4. ED治療薬は、このPDE-5の働きを一時的にブロックします。
  5. ブレーキ役がいなくなることで、cGMPが分解されにくくなり、血管拡張が維持されやすくなります。結果として、より少ない性的刺激でも十分な勃起が得られ、またその状態を維持しやすくなるのです。

ここで非常に重要なポイントは、ED治療薬は媚薬や精力剤ではないということです。

薬を飲んだだけで、本人の意思とは無関係に勃起が続くわけではありません。あくまで脳が性的興奮を感じて「勃起せよ」という指令を出したときに、その指令がスムーズに実行されるのを「手助け」する薬です。

したがって、性的興奮や刺激がなければ、薬を飲んでも何も起こりません。この点は、治療を始める前に正しく理解しておく必要があります。

【一覧表】国内承認ED治療薬3種を徹底比較

現在、日本国内の医療機関で処方されているED治療薬は、それぞれに特徴があり、効果の現れ方や持続時間、副作用などが異なります。どの薬が自分に合っているかを知るためには、まずそれぞれの違いを客観的に把握することが不可欠です。

このセクションでは、国内で承認されている主要なED治療薬3種と、そのジェネリック医薬品について、「効果」「持続時間」「食事の影響」「副作用」「費用」という5つの重要な観点から徹底的に比較していきます。

比較する国内承認薬とジェネリック医薬品

今回比較するのは、日本国内で厚生労働省から承認を受け、医療機関で処方されている以下の3つの有効成分を持つ治療薬です。これら以外のED治療薬(例:ステンドラ、ザイデナ等)は、海外で承認されていても日本では未承認であり、安全性が確認されていません。個人輸入などは絶対に避けましょう。

  1. シルデナフィル(先発薬:バイアグラ
  2. バルデナフィル(先発薬:レビトラ)※現在、ジェネリックが主流
  3. タダラフィル(先発薬:シアリス

また、これら3剤には、特許期間が満了したことで他の製薬会社が製造・販売するジェネリック医薬品(後発医薬品)が存在します。

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同一の有効成分を同一量含んでおり、効能・効果、用法・用量が同じであると国から認められています。開発コストが抑えられるため、先発医薬品よりも価格が安いのが大きなメリットです。

「効果の強さ(硬さ)」「持続時間」「即効性」で比較

ED治療薬を選ぶ上で最も気になるのが、パフォーマンスに関するこれらの項目でしょう。それぞれの薬で得意なことが異なります。

  • 効果の強さ(硬さ): 勃起時の硬さを最も得やすいとされているのは、バルデナフィル(レビトラ)です。次いでシルデナフィル(バイアグラ)も強い効果が期待できます。硬さを重視する方には、これらの薬が第一選択肢となることが多いです。
  • 持続時間: 最も長く効果が続くのは、タダラフィル(シアリス)です。服用後、最大で36時間程度効果が持続するため、「ウィークエンドピル」とも呼ばれます。金曜の夜に飲めば、日曜の朝まで効果が期待できるため、時間に縛られず自然なタイミングで性行為に臨みたい方に適しています。
  • 即効性(効果発現時間): 効果が現れるまでの時間が比較的短いのは、バルデナフィル(レビトラ)で、服用後15~30分ほどで効果が出始めます。シルデナフィル(バイアグラ)も30分~1時間程度で効果が現れます。

「食事・アルコールの影響」で比較

ED治療薬の効果は、食事の内容によって大きく左右されることがあります。特に、バイアグラやレビトラは、食事、とりわけ脂肪分の多い食事の後に服用すると、有効成分の吸収が妨げられ、効果が半減したり、効き始めるまでに時間がかかったりすることがあります。

  • 食事の影響を受けやすい: シルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)
    • これらの薬を服用する際は、空腹時が最も効果的です。もし食事を摂るなら、服用する前後2時間は空け、焼肉や天ぷらといった脂っこい食事は避けるのが賢明です。
  • 食事の影響を受けにくい: タダラフィル(シアリス)
    • この薬は食事の影響が比較的少ないため、食後の服用でも安定した効果が期待できます。デートで食事を楽しんだ後に、というシチュエーションでも使いやすいのが大きな利点です。

アルコールに関しては、適量であればリラックス効果が期待できるため、一概に悪いとは言えません。しかし、どの薬であっても過度の飲酒は禁物です。アルコール自体が中枢神経の働きを抑制し、勃起力を低下させるため、薬の効果を打ち消してしまう可能性があります。

「副作用の出やすさ」で比較

ED治療薬は血管を拡張させることで効果を発揮するため、全身の血管にも影響が及び、副作用が出ることがあります。主な副作用としては、顔のほてり、目の充血、頭痛、鼻づまりなどが挙げられます。

  • 副作用が比較的出やすい: シルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)
    • 効果がシャープに現れる分、血管拡張に伴う副作用も感じやすい傾向があります。
  • 副作用が比較的マイルド: タダラフィル(シアリス)
    • 効果が穏やかに長く続くため、副作用も出にくい、あるいは感じにくいとされています。初めてED治療薬を試す方や、副作用が心配な方によく選ばれます。

ただし、副作用の感じ方には個人差が非常に大きいため、一概には言えません。もし頭痛が気になる場合は、市販の頭痛薬(ロキソニンなど)を併用することも可能です。

「費用(1錠あたりの価格相場)」で比較

ED治療は自由診療のため、公的医療保険は適用されません。薬の価格はクリニックによって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。

  • 先発医薬品: 1錠あたり1,300円~2,000円程度が目安です。
  • ジェネリック医薬品: 1錠あたり700円~1,200円程度と、先発品に比べて3~5割ほど安価になります。

継続的に治療を行う場合、コストパフォーマンスは重要な選択基準となります。ジェネリック医薬品は、有効成分や効果は先発品と同等でありながら、価格を大幅に抑えることができるため、非常に賢い選択肢と言えるでしょう。

【国内承認薬】ED治療薬3種 徹底比較一覧表

特徴シルデナフィル (バイアグラ)バルデナフィル (レビトラ)タダラフィル (シアリス)
効果の強さ★★★★☆★★★★★★★★☆☆
持続時間約4~5時間約5~8時間約30~36時間
即効性約30~60分約15~30分約1~3時間
食事の影響受けやすい受けやすい受けにくい
副作用やや出やすいやや出やすい出にくい
費用相場/錠約1,000円~約1,200円~約1,100円~
一言特徴世界初のED薬で知名度と実績No.1硬さ・即効性に優れるパワータイプ長時間持続で自然なタイミングを

目的・シーン別!あなたに最適なED治療薬の選び方

前のセクションで解説した各薬の特徴を踏まえ、ここではより具体的に、あなたの目的や利用シーンに合わせた最適な薬の選び方を提案します。ご自身のライフスタイルや、パートナーとどのような時間を過ごしたいかを想像しながら、どの薬が自分にとってベストな選択肢かを見つけていきましょう。

持続時間で選びたい方へ|週末をゆっくり過ごしたいなら

→ 推奨:タダラフィル(シアリス)

もしあなたが、「服用するタイミングを気にせず、週末の間、自然な流れで性行為に臨みたい」と考えているなら、タダラフィル(シアリス)です。服用後30~36時間にわたって効果が続くため、精神的に非常にリラックスした状態でパートナーと過ごすことができます。

即効性を重視する方へ|急な機会にも対応したいなら

→ 推奨:バルデナフィル(レビトラ)

「パートナーとのムードが高まった時に、すぐに対応したい」「チャンスを逃したくない」というように、即効性を最優先する方には、バルデナフィル(レビトラ)が選択肢となるでしょう。レビトラは、服用後最短15分ほどで効果が発現するのが特徴です。

ただし、食事の影響を受けやすいため、効果を最大限に引き出すためには空腹時の服用が望ましい点を覚えておきましょう。

食事の影響を避けたい方へ|デート中の食事も楽しみたいなら

→ 推奨:タダラフィル(シアリス)

性行為の前に、パートナーと美味しい食事やお酒を楽しむ時間は、とても大切なコミュニケーションの一部です。食事の影響を気にせず治療薬を使いたい方には、タダラフィル(シアリス)がおすすめです。

この薬は、有効成分の吸収が食事の脂肪分に妨害されにくいため、食後の服用でも安定した効果を期待できます。

副作用が心配な方へ|マイルドな効き目を求めるなら

→ 推奨:タダラフィル(シアリス)

初めてED治療薬を試す方や、以前に他の薬で頭痛やほてりといった副作用を強く感じた経験がある方には、タダラフィル(シアリス)が最も安心できる選択肢となる可能性が高いです。

有効成分がゆっくりと吸収され、効果の発現が非常に穏やかなため、副作用が出にくい、あるいは感じにくいとされています。

コストを抑えたい方へ|継続的な治療を考えるなら

→ 推奨:各種ジェネリック医薬品(特にシルデナフィルジェネリック)

ED治療は継続することが重要になるケースも多く、その場合、コストパフォーマンスは無視できない要素です。治療費をできるだけ抑えたいと考えるなら、ジェネリック医薬品を選択するのが最も賢明な方法です。

特にシルデナフィル(バイアグラジェネリック)は、安価な傾向があり、コストを抑えてED治療を試してみたい方にとって、最適な選択肢と言えるでしょう。

尾内 隆志 先生 (精神科専門医) のコメント

『一番強い薬(硬くなる薬)が一番良い』と誤解されがちですが、患者さんのお話を伺っていると、必ずしもそうではないことがよく分かります。例えば、精神的な不安が強い方の場合、持続時間が長く、プレッシャーを感じにくいシアリスの方が、結果的にうまくいくケースも多いのです。ご自身のライフスタイルや、EDの背景にある原因が心因性なのか、身体的なものなのかによっても最適な薬は異なります。データだけで判断せず、ご自身の心と体の状態に合ったものを選ぶことが何より大切です。

【精神科医が解説】ストレスや不安が原因?「心因性ED」と薬の効果

EDの原因は身体的なものだけではありません。このセクションでは、本記事の監修者である精神科医・尾内先生の専門的知見に基づき、心因性EDのメカニズムと、それに対する薬物治療の本当の役割について、競合サイトにはない独自の視点で深く掘り下げていきます。ストレスや不安に心当たりのある方は、ぜひお読みください。

「また失敗したらどうしよう…」というプレッシャーがEDの原因に

心因性EDで最も典型的なのが、「パフォーマンス不安」の悪循環です。

一度性行為に失敗した経験が記憶に残り、「次もまた失敗したらどうしよう…」という強い不安やプレッシャーが、かえって体を緊張させ、物理的に勃起しにくい状態を自ら作り出してしまうのです。この負のスパイラルこそが、心因性EDの正体です。

心因性EDに対する薬物治療の役割とは?

このような心因性EDに対して、ED治療薬は非常に有効な解決策となり得ます。

その役割は、単に物理的な勃起をサポートするだけではありません。むしろ、心理的な側面にこそ、その真価があると言えます。薬の力を借りてでも、一度でも「できた」という成功体験を得ることができれば、それが大きな自信に繋がります。「薬を飲めば大丈夫」という安心感が生まれ、パフォーマンス不安が軽減されるのです。

尾内 隆志 先生 (精神科専門医) のコメント

ED治療薬で一度でも成功体験を得ることは、『また大丈夫だった』という自信に繋がり、不安の悪循環を断ち切る大きなきっかけになります。薬は、いわば自信を取り戻すためのお守りのような役割も果たしてくれるのです。最初は薬の力を借りていた方が、自信がつくことで徐々に薬が不要になっていくケースも、臨床現場では決して珍しくありません。一人で悩み、悪循環にはまってしまう前に、こうした治療の選択肢があることを知っていただきたいですね。

薬だけじゃない、自分でできる不安軽減のためのセルフケア

ED治療薬は心因性EDに非常に有効ですが、同時に、ご自身でストレスや不安を管理するセルフケアを取り入れることで、より根本的な改善が期待できます。

十分な睡眠、適度な運動、リラックスできる時間の確保、そしてパートナーとのコミュニケーションは、薬物治療の効果を高める上でも非常に重要です。

【最重要】ED治療薬の副作用と絶対に注意すべき3つのこと

ED治療薬は、医師の指導のもと正しく使用すれば非常に安全で有効な薬ですが、医薬品である以上、副作用のリスクや、使用する上で絶対に守らなければならない注意点が存在します。

あなたの健康を守り、安全に治療を進めるために、このセクションの内容は必ず理解しておいてください。

主な副作用(頭痛・ほてり・鼻づまり等)の種類と発現率

ED治療薬の副作用は、その血管拡張作用に起因するものがほとんどです。頭痛、顔のほてり、鼻づまりなどが主な症状ですが、多くは一時的で軽度なものです。

通常は薬の効果が薄れるとともに自然に解消されますので、過度に心配する必要はありません。

重大な副作用と、その場合の対処法

頻度は極めて稀ですが、勃起が4時間以上続く持続勃起症(プリアピズム)や、急激な視力・聴力低下などが報告されています。これらの症状が現れた場合は、直ちに薬の服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。

注意点1:併用してはいけない危険な薬(併用禁忌薬)

ED治療薬には、一緒に服用すると命に関わる危険な相互作用を引き起こす「併用禁忌薬」が存在します。特に重要なのが、狭心症や心筋梗塞の治療に用いられる「硝酸剤」です。

これらを併用すると、血圧が危険なレベルまで急激に低下し、最悪の場合は死に至るため、絶対に併用してはいけません。

尾内 隆志 先生 (精神科専門医) からの強い注意喚起

これは脅しでも何でもなく、医学的な事実です。特に心臓病の治療でニトログリセリン系の薬(舌の下に入れて溶かすタイプの薬や貼り薬など)を服用されている方は、ED治療薬との併用は命に関わりますので絶対にやめてください。ご自身が服用している薬の名前が分からない場合でも、心臓の病気で治療中の方は、必ずED治療薬を処方する医師に、現在治療中の病気と服用している全ての薬について正直に伝えてください。これが安全な治療の大前提です。

注意点2:個人輸入・通販に潜む偽造薬のリスク

インターネットの個人輸入代行サイトなどで販売されている薬には、絶対に手を出してはいけません。製薬会社4社の合同調査では、インターネットで入手したED治療薬の約4割が偽造薬であったと報告されています。

これらの偽造薬には、有効成分が含まれていなかったり、逆に過剰に含まれていたり、有害物質が混入している危険性があります。

偽造ED治療薬4社合同調査結果(2016年)によると、インターネットで入手したED治療薬のうち、40%が偽造品でした。

安全で確実な効果を得るためには、必ず正規の医療機関を受診し、医師の診察のもとで処方された、品質の保証された薬を服用してください。

注意点3:ED治療薬に頼る前に生活習慣の見直しも大切

ED治療薬は非常に有効な対症療法ですが、EDの根本的な原因が生活習慣にある場合、薬だけに頼るのではなく、その原因を改善していくことも非常に重要です。

禁煙、バランスの取れた食事、適度な運動、適切な体重管理などは、EDの改善だけでなく、将来の心筋梗塞や脳卒中の予防にも繋がります。

ED治療薬の安全な入手方法|オンライン診療という選択肢

「ED治療に興味はあるけれど、病院に行くのは恥ずかしいし、忙しくて時間もない…」という方には、「オンライン診療」が有効な選択肢です。

このセクションでは、ED治療薬を安全かつプライバシーを守りながら入手するための、オンライン診療について詳しく解説します。

ED治療薬の処方には医師の診察が必須

まず大前提として、日本国内で正規のED治療薬を入手するためには、必ず医師の診察と処方が必要です。これは、患者さん一人ひとりの健康状態を確認し、安全性を確保するためです。ドラッグストアなどで処方箋なしに購入することはできません。

プライバシーを守りながら受診できるオンライン診療とは?

オンライン診療は、スマートフォンやPCのビデオ通話機能を使って、自宅など好きな場所から医師の診察を受けられるサービスです。待合室で人と会う気まずさがなく、移動時間や待ち時間も不要なため、忙しい方でも気軽に受診できるのが大きなメリットです。

オンライン診療の具体的な流れを4ステップで解説

オンライン診療の利用方法は非常に簡単で、ほとんどのクリニックで以下の4つのステップで完結します。

  1. 公式サイトから予約
  2. オンラインでの問診・診察
  3. オンラインで決済
  4. 薬の郵送・受け取り

【私の体験エピソード】

私自身、医療ジャーナリストとして多くのクリニックのオンライン診療システムを調査しましたが、最近のサービスは本当によくできています。

予約から決済までスマホ一つでシームレスに完結し、非常に分かりやすく設計されています。プライバシーへの配慮も徹底されており、これなら多くの方が利用しやすいだろうと感じました。重要なのは、必ず正規の医療機関が運営しているサービスを選ぶことです。

ED治療薬に関するよくある質問(FAQ)

この最後のセクションでは、患者さんから特によく寄せられる質問について、Q&A形式で簡潔にお答えしていきます。

Q. ジェネリック医薬品って効果は同じ?なぜ安いの?

A. はい、効果や安全性は先発医薬品と全く同じです。

ジェネリック医薬品は、有効成分、効果・効能が先発医薬品と同等であることが国の審査で認められています。新薬のように莫大な研究開発費が不要なため、価格を安く設定できます。コストパフォーマンスを考えるなら、非常に賢い選択です。

Q. お酒を飲んだ後に服用しても大丈夫?

A. 適量であれば問題ありませんが、飲み過ぎは禁物です。

少量のアルコールはリラックス効果をもたらすこともありますが、過度の飲酒は逆効果です。薬の効果が十分に得られなくなる可能性や、めまい等を起こしやすくなる危険性があります。

Q. 薬を飲めば必ず勃起するの?

A. いいえ、性的興奮や刺激がなければ勃起はしません。

ED治療薬は、あくまで性的興奮があったときに、勃起をスムーズに「手助け」する薬です。媚薬のように、本人の意思に関係なく勃起させるものではありません。

Q. ED治療に保険は適用される?

A. 原則として自由診療ですが、不妊治療の一環で保険適用される場合があります。

ED治療は基本的に保険適用の対象外で、全額自己負担の自由診療です。ただし、2022年4月から、不妊治療を目的とする場合に限り、一部のED治療薬に保険が適用されることになりました。

これには、例えば、泌尿器科で5年以上の経験を持つ医師による診断が必要であることや、パートナーが不妊治療中であること、処方日数に上限があることなど、詳細な条件が定められています。

ご自身が該当するかどうかについては、専門の医療機関にご相談ください。

Q. パートナーにはどう伝えればいい?

A. 一人で抱え込まず、正直に、そして前向きに伝えることが大切です。

EDの悩みは、カップル二人の問題です。伝える際は、「君を満足させられないのが辛い」「二人の関係をより良くするために、治療を考えている」というように、パートナーを大切に想う気持ちをベースに、誠実に話すことが重要です。

まとめ|一人で悩まず、専門家に相談して自信を取り戻しましょう

この記事では、国内で承認されているED治療薬の種類と特徴、ご自身の目的に合った選び方、そして安全に治療を進めるための注意点について、専門家の監修のもと詳しく解説してきました。

最後に、この記事の最も重要なポイントをチェックリストで振り返ってみましょう。

あなたに合ったED治療薬を選ぶための最終チェックリスト

チェック項目確認ポイント
□ 薬ごとの違いを理解したか効果の強さ、持続時間、即効性、食事の影響など、国内承認薬3種それぞれの長所・短所を把握しましたか?
□ 自分の優先順位は明確かあなたが最も重視するのは、持続時間ですか?即効性ですか?それともコストや副作用の少なさですか?
□ 副作用とリスクを把握したか一般的な副作用に加えて、併用してはいけない薬や、偽造薬の危険性について正しく理解しましたか?
□ 安全な入手方法を知っているか個人輸入はせず、必ず正規の医療機関(対面またはオンライン診療)で医師の診察を受けて処方してもらうことの重要性を認識しましたか?

EDは、決して特別な病気ではありません。そして最も大切なのは、EDは治療できる悩みであるということです。

一人で抱え込み、自信を失い続ける必要はありません。現代には、安全で効果的な治療薬があり、プライバシーを守りながら専門家に相談できるオンライン診療という便利な選択肢もあります。

正しい知識を身につけ、専門家の力を借りて、前向きな一歩を踏出してみませんか。

尾内 隆志 先生 (精神科専門医) からの応援メッセージ

ED治療は、単に勃起を改善するだけでなく、失われた自信を取り戻し、パートナーとの人生をより豊かにするための、非常にポジティブな医療です。悩むことは決して恥ずかしいことではありません。この記事が、あなたが前向きな一歩を踏み出すための、小さな勇気に繋がれば、専門家としてこれほど嬉しいことはありません。

【私の体験エピソード】

以前、長年ED治療に携わっている専門医の先生を取材した際に、「悩んでいる時間がもったいないですよ」と仰っていたのが非常に印象的でした。正しい知識を身につけ、専門家の力を借りることが、悩みを解決するための最も確実で、そして一番の近道なのだと、私も強く感じています。

まずは気軽に相談できるオンライン診療

この記事を読んで、少しでも「相談してみようかな」と思ったあなたへ。
最初の一歩として、まずは専門クリニックのオンライン診療で、気軽に話を聞いてもらうことから始めてみてはいかがでしょうか。

【参考文献】

この記事を書いた人

葛飾橋病院

葛飾橋病院では精神科、神経科、内科、放射線科、歯科と様々な診療、治療を行っています。職員一同心をひとつに合わせて、患者様、ご家族の皆さまに心から安心していただけるホスピタルづくりを進めており、地域に密着した精神科医療の活性化に尽力していきます。当ブログでは精神科を中心とした記事を作成し患者様の心を少しでも和らげられるような発信をしていきます。