不安型愛着障害は、相手と親密な関係になるほど不安な気持ちや執着心が強くなり、自分を責めて苦しくなってしまう、という特徴があります。
性格の弱さではなく、過去の経験やトラウマによって身に付いてしまった心の癖のようなものです。

愛情を試すようなことをしてしまう…

嫌われてないか不安になってしまう…

安心した関係を築きたいのに、いつも不安が強くなってしまう…
不安型愛着障害は、正しい理解と向き合い方によって少しずつ行動や感じ方を変えていくことが可能です。
今回は、不安型愛着障害の特徴や原因、克服方法を詳しく解説します。
自分自身が楽になるための方法や周囲の人が取るべき接し方のポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
不安型愛着障害は愛着障害のパターンのひとつ

愛着障害とは、人との関係性の中で安心感をうまく感じにくくなってしまう心の傾向を指します。
中でも不安型愛着障害は不安が強く現れやすいという特徴があり、安心したい気持ちとは裏腹に相手の言動に敏感になったり愛情を試すような行動を取ってしまいがちです。
過度な不安や依存的な関わり方に繋がってしまうため、自分を責めたり苦しい関係に陥ってしまいます。

監修者コメント
不安型愛着障害は、性格の問題ではなく幼少期やこれまでの人間関係が強く影響しているため、適切な理解と関わり方によって安心感を育て直すことが可能です。
不安型愛着障害の特徴と症状
不安型愛着障害は、人との関係において安心したい気持ちが強くある一方で、大切に思う相手ほど不安や緊張、執着心が続きやすいのが特徴です。
相手を大切に思えば思うほど安心したい気持ちが強くなり、感情が揺らぎ自分を苦しめてしまうことがあります。
本項目では、不安型愛着障害の特徴や主な症状を解説します。
承認欲求が強すぎる
不安型愛着障害の人は、愛されている実感や必要とされているかの確認を強く求める傾向にあります。
褒められたり好意を示されたりすると一時的に安心感を得られますが、長続きしません。
相手の反応に気持ちが左右されやすく、少しでも反応が薄くなったり、承認を得られないと強い不安や自己否定に陥ることがあります。
承認を得られない状態が続くと、「必要とされていない」「自分は大切にされる存在ではない」とどんどん不安な気持ちが増幅し、相手との関係悪化につながります。
過度に依存する
不安型愛着障害の方は、相手との関係が深まるほど、失うことへの恐れが強くなっていきます。
「いつも一緒にいてほしい」「自分だけを見てほしい」「連絡が取れない状態に耐えられない」と感じてしまうことも少なくありません。
安心感を得るために過度に依存して、頻繁な連絡を求めたり相手の行動や交友関係を把握しようとしてしまいます。
過度な依存は、不安をさらに深める悪循環に陥りやすい状態になってしまうため注意が必要です。
人の機嫌や顔色に過剰に反応する
不安型愛着障害の特徴の一つに、人の機嫌や顔色に過剰に反応してしまうことがあります。
相手のちょっとした態度や言葉のトーンの変化を敏感に感じ取り「悪いことしたかな」「嫌われたかな」と思ってしまいがちです。
実際には自分とは無関係のことでも自分の責任だと思い込んでしまうこともあります。

監修者コメント
常に周囲の空気を読んだり気を張っている状態が続いてしまうため、精神的に消耗して安心できる時間が少なくなったり慢性的なストレスにつながることも考えられます。
不安型愛着障害の原因
不安型愛着障害は、生まれつきの性格や意思の弱さ、努力不足などによって起こるものではありません。
多くの場合は、成長過程で経験した人との関わり方が影響しています。
安心できる土台が形成されないまま大人になると、恋愛や人間関係で不安型愛着障害として現れる可能性が高いです。
本項目では、不安型愛着障害に繋がりやすい原因について解説します。
親の不安定な関わり
幼少期は本来、泣いたり怒ったり感情を露わにした時に、親に受け止めてもらうことで安心感を得ることができます。
ですが、親の反応や態度が日によって違ったり、優しい時と冷たい時の差が激しいなど、感情を受け止めてもらえない不安定な状態が続くと愛情を実感できにくくなってしまいます。
どんな態度でいれば愛されるのか、どうすれば常に優しくしてもらえるのか、と無意識にでも考えながら育ってきた方は、安心できる土台が形成されていません。
親との不安定な関わりが長く続くと、相手の機嫌や反応を常に気にする癖が身に付いてしまい、大人になってからも安心できる関係を上手く築けず不安を感じやすくなるでしょう。
成長期に親の十分な愛情を受けられなかった
成長期に、親の愛情を十分に受けられなかったり気持ちに寄り添ってもらえた実感がないまま育つことで、不安型愛着障害が起きるケースも少なくありません。
親の忙しさや心身の不調、余裕の無さなどから、子供の感情が後回しにされると「自分の気持ちは大切にされない」「話を聞いてもらえなかった」という経験が心に残ったまま成長してしまいます。
寂しさや不安などの感情の置き場所が分からないまま大人になると、過剰な承認欲求や拒絶を強く恐れるようになります。
親が愛着性障害
親自身が愛着に関する問題を抱えていると、子供との関わり方が極端になりやすく安定した関係性を築くことが難しくなります。
感情の起伏が激しい、過干渉と放任を繰り返すなど、子供が安心して感情を露わにできる環境が整っていないと、安心できる関係性や安定した居場所があることすらも知らないまま成長していきます。
愛着の傾向は、教えてもらうのではなく、親や身近な人との関係性の中で体感的に学ぶものです。

監修者コメント
親自身が愛着性障害という自覚がなくても、無意識のうちに世代間で引き継がれることもあります。
【治し方】不安型愛着障害の克服方法

不安型愛着障害の克服方法を紹介します。
不安を完全になくすことを目指すのではなく、不安に振り回される時間を減らして安心できる時間を少しずつ増やせるようにしていきましょう。
不安型愛着障害を治すための日常生活の中で取り入れやすい考え方や行動を紹介するので、参考にしてください。
不安な時間を減らす

不安型愛着障害の人は、実際には何も問題が起きていなくても先回りして不安に感じてしまう傾向があります。
まず大切なのは、不安を感じた時に想像が膨らんでいるだけなのか現実に起こっている問題なのか、整理して考えることです。
不安を感じないようにすることよりも不安の正体を明らかにして、冷静に考え直すことで不安に支配される時間が短くなっていきます。

監修者コメント
一度不安に感じてしまうと、どんどん悪い状況に考えてしまいがちですが、不安な気持ちに距離を取ろうとする意識が克服への一歩になります。
子どもの頃の欲求を叶える

不安型愛着障害の背景には、子どもの頃に満たされなかった安心感や承認欲求が残っていることがあります。
子どもの頃に感じた「甘えたかった」「話をきいてほしかった」「わがままを言いたかった」という気持ちは、大人になってもなかなか消えるものではありません。
大人になった今、子どもの頃の欲求を否定せず受け止めることが大切です。
安心できる土台を作るためにも、自分自身に優しい言葉をかけたり無理をしない環境作りを心掛けるなど自分を丁寧に労わるようにしましょう。
安心できる人や場所を見つける

不安型愛着障害を克服するためには、安心できる、心が落ち着く人や場所を持つことが大切です。
誰か一人や環境に依存するのではなく、安心できる人や場所を複数見つけることで、心の支えが分散されて安定しやすくなります。
落ち着くカフェや一人のカラオケスペース、本屋さん、いつものスーパーなど、気付けば訪れてしまう場所は誰にでもあるものです。
外に出なくても、家のお風呂やベッドでごろっとしている時など、自分はどこにいると安心できるのか確認してみましょう。
安心を感じられる場所、一緒にいると落ち着く人を意識的に増やしていくことで、不安になる時間を減らすことができます。
我慢せずに専門家に相談する

不安型愛着障害は、「安心できる場所が欲しい」「不安をなくしたい」と思っていても、一人で気持ちに寄り添い整理することは簡単なことではありません。
つらい気持ちが長く続く場合や一人で克服することに不安がある場合は、専門家の力を借りましょう。
カウンセリングでは、なぜ不安になってしまうのか、安全な環境で見つめ直すことができます。
専門家に助けを求める、という行為そのものが、安心を育てる練習にもなるので我慢せず相談しましょう。
不安型愛着障害の試し行動について

不安型愛着障害を抱える人に多く見られるのが、試し行動です。
試し行動は、相手を困らせるためではなく「不安を和らげたい」「安心したい」という気持ちから無意識にしてしまいます。
自分で良くないと分かっていても、相手を試すような言動がやめられず関係が悪化することもあります。
試し行動の意味を正しく理解することで、向き合い方を考える一歩になるので詳しく紹介します。
試し行動は意図的に相手の反応を見る行動
試し行動とは、相手の愛情や関心を確かめるために、あえて距離を取ったり、不安をあおる言動を取ることです。
上記のような言動で、相手がどのような反応をするか試します。
相手の反応によって「大切にされている」と実感できると一時的に安心できますが、思い通りの反応がないとさらに強い不安に陥ります。
試し行動は、意図的な行動に取られがちですが、背景には強い不安があり安心感を得るための手段として無意識に使われることもある行動です。
相手に試し行動をしてしまう場合は、自分を責めすぎす、まず不安だったという感情を冷静に認識しましょう。
そのうえで、不安な感情を言葉で伝える練習をして、今の気持ちを素直に表現していくだけで試し行動を少しずつ減らすことできます。
試し行動は「愛されたい」気持ちの表れ
試し行動の根底にあるのは「大切にされている実感が欲しい」「見捨てられたくない」という切実な気持ちです。
相手を大切に思えば思うほど、試すような言動で気持ちを確かめようとしてしまいます。
わがままや相手を困らせたいと思っているのではなく、「愛されたい」という愛情への渇望です。

監修者コメント
愛されていても不安ゆえに試し行動を取ってしまうこともあるので、相手との関係性や自分の気持ちを整理し、不安な時は素直に言葉にして伝えることが大切です。
不安型愛着障害の人との接し方のポイント
不安型愛着障害の人と関わる時は、相手の不安を理解しつつ無理のない距離感を保つことが大切です。
安心感を与えようとしすぎると、支える側が負担に感じて消耗してしまうこともあります。
本項目では、不安型愛着障害の人と信頼関係を築きながら、どちらも苦しくならない接し方のポイントを紹介します。
気持ちに寄り添い信頼関係を深める
不安型愛着障害の人は、感情を否定されることに強い不安を感じやすい特徴があります。
そのため、気持ちそのものを受け止めて共感することが大切です。
不安な気持ちに寄り添い「不安になるよね」「その気持ちわかるよ」という姿勢を取るようにしましょう。
すぐに解決しようとするのではなく、不安な気持ちを打ち明けでも変わらずそばにいてくれる、という体験を繰り返すことで少しずつでも信頼関係を深めることができます。
共感することが安心感の土台になるので、否定せず気持ちに寄り添いましょう。
積極的にポジティブな声かけを行う
不安型愛着障害の方は、安心できる環境にいたとしても不意に不安に襲われることがあります。
相手の表情や声のトーンの些細な変化でも「嫌われたかも」と感じてしまうこともあるので、感謝や変わらない気持ちを言葉で伝えることが大切です。
「大丈夫だよ」「一緒にいられて嬉しい」などのポジティブな声かけは、メンタルや関係の安定にもつながります。
自分のメンタルを安定させることも大切
不安型愛着障害の人と関わる時は、自分のメンタルを安定させることが大切です。
相手の気持ちは相手のものであり、すべてを背負い支える必要はありません。
自分の気持ちにも寄り添い、適切な距離感を保つことが、長く良い関係を続けるポイントです。

監修者コメント
安定したメンタルでいることが、相手にとっても安心材料になるため無理せず自分の限界を見極めながら向き合いましょう。
不安型愛着障害のよくある質問・Q&A
- Q不安型愛着障害の恋愛の特徴は何ですか?
- A
不安型愛着障害の人は、感情が豊かで相手を思う気持ちが強い傾向にあります。
相手の些細な変化にも気付いて、好意が向けられている間は安心できるものの、連絡頻度が減る、態度が変わったように感じると一気に不安が膨らみます。
恋愛に依存しやすく、見捨てられることへの不安が強いため、本音を言えず試し行動をしてしまうのも特徴の一つです。
ですが、安心できる環境を整えることで安定した関係性を築くことはできます。
- Q不安型愛着障害は何科で診断を受けますか?
- A
不安型愛着障害の診断を受けたい場合は、心療内科や精神科です。
不安の強さや過去の経験などから現在の状態を総合的に診断し、不安障害や適応障害などの診断と合わせた上で愛着の傾向を判断してくれます。
診断名よりも理解や克服を目指す場合は、心理士やカウンセラーによるカウンセリングも有効的です。
不安型愛着障害は投薬によるものではなく、自己理解を通して改善していくため、克服したい場合はカウンセリングも検討してみてください。
- Q不安型愛着スコアで何が分かりますか?
- A
不安型愛着スコアは、自分の愛着の傾向を客観的に知るための目安として使用されます。
不安型愛着スコアを利用することで、不安が強まりやすい場面や恋愛で疲れやすい理由を知るヒントにもなります。
スコアが高いからといって問題があるわけではないので、あくまで自分の心の状態を知るための材料として活用しましょう。
― ごあいさつ ―
葛飾橋病院は昭和32年の開院以来、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。
当コラム記事ではさまざまな心の病を持っている方のお手伝いができればと考えています。


