
布団に入っても目が冴えて、気づくと2時間たっています。

眠れない日が続いていて、このままで大丈夫なのか心配です。
その不安は、眠れない日が続いている方の多くが感じるものです。
眠れない夜は誰にでもあります。実際、一般成人の30〜40%が何らかの不眠症状をもっていると報告されています。
ただ、それが何日も続くと、日中のだるさや集中力の低下につながります。そして「また今夜も眠れないのでは」という不安が、さらに眠りを遠ざけます。
大事なのは、眠れない理由が人によって違うということです。生活の工夫で足りる場合もあれば、別の病気が隠れている場合もあります。
この記事でわかることは次のとおりです。
眠れない原因は大きく6つ
眠れない原因は1つではありません。まずは自分がどれに近いかを見てみてください。
原因がわかると、やるべきことも変わります。生活の工夫で足りるのか、医療機関で調べたほうがいいのかの分かれ目にもなります。

| 原因 | よくあるサイン | まず試すこと |
|---|---|---|
| ストレス 考えごと | 布団の中で 頭が働き続ける | 考えごとを 紙に書き出す |
| 体の病気 痛み・かゆみ | 痛みやかゆみ 頻尿で目が覚める | もとの病気を 先に治療する |
| こころの病気 | 気分の落ち込み 興味がわかない | 早めに 専門医を受診 |
| 別の睡眠障害 | いびき・呼吸が止まる 脚がむずむずする | 検査ができる 医療機関へ |
| 薬・カフェイン お酒・たばこ | 夕方以降に コーヒーを飲む | 夕方以降は カフェインを控える |
| 生活リズム 寝室の環境 | 休日に 寝坊している | 起きる時間を そろえる |
ストレスや考えごと

緊張しているときは眠りに入りにくくなります。真面目で神経質な人ほど眠れないことにこだわりやすく、不眠が長引きやすいといわれています。
心配ごとがあるときの不眠は、ふつう数日から数週間でおさまります。試験の前日や旅行先で眠れないのは、多くの人が経験することです。
問題は、きっかけが過ぎても眠れない状態だけが残ってしまうときです。眠れないこと自体が心配の種になり、そこから抜けにくくなります。
きっかけがはっきりしている不眠は、そのきっかけが落ち着けば戻ることがほとんどです。焦って手を広げる必要はありません。
体の病気や痛み

高血圧や心臓病の胸苦しさ、呼吸器の病気の咳、前立腺肥大による頻尿、関節リウマチの痛み、アレルギーのかゆみなど、体の不調が眠りを妨げることがあります。
この場合は、眠れないことよりも、もとの病気の治療が先です。原因になっている症状が落ち着くと、眠りも戻っていくことが多くあります。それでも眠れない状態が残るときは、あらためて相談してください。
痛みやかゆみで夜中に目が覚める日が続いているなら、眠りの相談より先に、その症状を診てもらっているかを確認してください。
こころの病気

うつ病をはじめ、こころの病気の多くは不眠をともないます。単なる不眠だと思っていたら、うつ病だったというケースも少なくありません。
こうした症状が一緒に出ているときは、早めに精神科や心療内科に相談してください。
死にたい気持ちがある、自分を傷つけたくなる、消えてしまいたいと感じるときは、様子を見ずにすぐ精神科・心療内科を受診してください。
夜間や休日は、厚生労働省の相談窓口も使えます。まもろうよ こころに、電話とSNSの相談先がまとまっています。
眠れない別の病気が隠れていることも

睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群など、眠りそのものを妨げる病気もあります。
むずむず脚症候群は、寝る前にじっとしていると脚に不快感が出るため、寝つきが悪いタイプの不眠と間違えられることがあります。
これらは通常の睡眠薬では治らず、専門の検査が必要です。
眠りを専門に診る医療機関では、寝ているあいだの呼吸や体の動きを調べることができます。
これらは50歳代から増えていきます。心当たりがあるときは、検査ができる医療機関を選んでください。
薬・カフェイン・お酒
飲んでいる薬が眠りを妨げることがあります。血圧の薬、甲状腺の薬、抗がん剤などが知られています。
コーヒーや紅茶のカフェイン、たばこのニコチンには目を覚ます働きがあります。カフェインには尿を増やす働きもあるため、夜中にトイレで目が覚める回数も増えます。
カフェインの効き方には個人差があり、夕方の1杯が夜まで残る人もいます。眠れない日が続いているなら、まず夕方以降を控えてみてください。
1日のカフェインは400mgを超えないようにとされています。ドリップコーヒーなら、カップ4杯分(700cc程度)にあたります。
生活リズムと寝室の環境
交替制の勤務や時差で体内時計が乱れると眠れなくなります。休日の寝坊や昼寝のしすぎも体内時計を乱します。
騒音や光、寝室の温度・湿度も眠りに影響します。眠るための適温は20℃前後、湿度は40〜70%くらいが目安です。
とくに休日の寝坊は見落とされがちです。平日との起床時間の差が大きいほど体内時計はずれ、日曜の夜に眠れなくなります。
休日に2時間以上長く寝る習慣があると、平日に6時間以上眠れていても寿命が短くなるリスクは下がらないと報告されています。

原因は1つとは限りません。ストレスと生活リズムの乱れが重なっていることもよくあります。当てはまるものを1つずつ減らしていくつもりで見てください。
今夜できる眠れない時の対処法
眠れないときにやることと、やらないほうがいいことを先にまとめます。
よかれと思ってやっている行動が、かえって眠りを遠ざけていることがあります。

| やること | やらないこと |
|---|---|
| 眠くなってから 布団に入る | 眠くないのに 早く布団に入る |
| 眠れなければ いったん布団を出る | 眠れないまま 布団で我慢する |
| 就寝1〜2時間前に 入浴する | 寝る直前に 熱い風呂に入る |
| 寝室を暗くする | スマホを 寝室に持ち込む |
| 起きる時間を 一定にする | 寝酒で 眠ろうとする |
眠くなってから布団に入る
「今日は早く寝よう」と眠くないのに布団に入ると、かえって目が冴えます。
眠れないのに我慢して寝床にいると、不眠が悪化することが分かっています。不眠が続くうちに、寝床に向かうだけで緊張するようになることもあります。
「眠れなかったぶん長く寝床にいよう」とするのも同じです。寝床で過ごす時間を増やすと、かえって寝つきが悪くなり、眠りも浅くなります。
眠れないときは思いきって布団を出る
眠れずに悶々としたまま布団にいると、不安と緊張が増してますます目が冴えます。
眠れないのに我慢して寝床にいると、不眠が悪化することがわかっています。眠気がないときは思いきって寝床から出て、別の部屋で静かに過ごしてください。
明るい照明の下ではなく、薄暗いところで過ごすのがコツです。眠気が戻ってきたら布団に戻ります。
呼吸をゆっくりにして体の力を抜く
寝る前に体をリラックスさせると眠りに入りやすくなります。息を吐く時間を長めにして、肩や手の力を抜いていきます。
秒数を決めた呼吸法もいろいろ紹介されていますが、息をゆっくり長く吐くことを意識するだけでかまいません。
うまくできているか気にしはじめると、それ自体が気がかりになります。数を数えることに集中しすぎないでください。
入浴は就寝の1〜2時間前に
就寝の1〜2時間前に入浴すると、寝つくまでの時間が短くなることが報告されています。
体が温まったあとに熱が逃げていく流れが、眠りに入るのを助けます。寝る直前の熱い風呂は逆に目を覚ましてしまいます。
ぬるめのお湯にゆっくり入るほうが、体の力が抜けやすくなります。半身浴でもかまいません。
寝室は暗くしてスマホを持ち込まない
寝室にはスマートフォンやタブレットを持ち込まず、できるだけ暗くして寝るのが良い睡眠につながります。
朝は逆に、起きてすぐ日光を浴びると体内時計が整います。早寝しようとするより、早起きするほうが先です。
夜に明るい照明を浴びすぎると体内時計が遅れ、朝がつらくなります。眠りを促すホルモンは就寝の2時間ほど前から出はじめるため、その頃から部屋の明かりを落としていくと切り替えがスムーズです。
寝酒でごまかさない
お酒を飲むと寝つきがよくなったように感じますが、効果は短時間しか続きません。
飲酒のあとは深い睡眠が減り、早朝に目が覚めることが増えます。眠るためにお酒を使うのはやめてください。

「布団を出る」と聞くと不安に感じるかもしれません。ただ、眠れないまま横になり続けるほうが、眠りにとってはマイナスです。眠気が来ないまま時間が過ぎていると感じたら、一度出てみてください。
出るときは足元の明かりをつけ、段差やコード類を片づけておいてください。ふらつきのある方や高齢の方は、無理に移動せず寝床で体を起こして座って過ごすだけでもかまいません。
眠れないまま朝になったときの過ごし方
一睡もできないまま朝を迎えることがあります。そんな日ほど、その日の過ごし方が次の夜を左右します。
つらい日ですが、ここで生活リズムを崩さないことが、翌日以降の眠りを取り戻す近道になります。

いつもどおりの時間に起きて朝の光を浴びる
眠れなかった日でも、起きる時間はいつもどおりにします。
朝に強い光を浴びると体内時計がリセットされ、その日の夜に眠くなる時間が早まります。ここで寝坊すると、次の夜もずれ込みます。
昼寝は午後3時前までに30分以内
どうしても眠いときは昼寝をとってかまいません。ただし午後3時より前に、30分以内にしてください。
短い昼寝でも脳の疲れをとる効果があります。長く寝すぎると、夜の眠気がなくなります。
夕方以降にうとうとするのもさけてください。夜に眠るための眠気を、前倒しで使ってしまうことになります。
その日の夜に早寝で取り返さない
「昨日眠れなかったから今日は早く寝よう」と考えがちですが、これは逆効果になりやすい行動です。
眠くないのに早く布団に入ると、また眠れずに過ごすことになります。いつもの時間まで起きているほうが、結果的によく眠れます。
横になるだけでも意味はある?

「眠れなくても横になっていれば休める」とよく言われますが、これは半分だけ正しい考え方です。
体を横にして静かにしていれば、筋肉や関節の負担は減ります。短時間であれば、それ自体は悪いことではありません。
ただし、眠れないまま長時間横になり続けるのは逆効果です。不安と緊張が高まり、布団が眠れない場所として結びついてしまいます。
眠気が来ないまま時間だけが過ぎているなら、横になり続けるよりも、いったん起きて薄暗い部屋で過ごすほうが、その夜のためになります。
また、日中も同じです。眠れなかった日に一日中横になって過ごすと、活動量が減って次の夜も寝つきが悪くなります。
前の晩に眠れなかったかどうかにかかわらず、日中はなるべく活動的に過ごすほうが、眠りは戻りやすくなります。
いろいろ考えすぎて眠れないとき
布団に入ると仕事のこと、人間関係のこと、明日の予定が次々に浮かんでくる。眠れない人の多くが経験する状態です。
考えごとを止めようとするほど頭が働いてしまうため、止めるのではなく外に出す方法をとります。

考えごとを紙に書き出す
頭の中だけで考えていると、同じことを何度も繰り返してしまいます。
布団に入る前に、気になっていることと、明日やることを紙に書き出しておきます。書いて外に出すと、覚えておこうとする負担が減ります。
解決策まで書く必要はありません。「明日の朝に考える」とだけ決めておくほうが、布団の中で考え続けずにすみます。
「眠らなければ」と思うほど目が冴える
眠れない日が続くと「また今夜も眠れないのでは」と不安になり、「早く眠らなければ」と焦るほど目が冴えます。
一時的な不眠が慢性化していく背景には、この不眠への恐怖があります。
「どうせいつかは眠くなるのだから、眠くなるまで起きていよう」くらいに割り切ったほうが、結果的にうまくいきます。
「眠れていない」と感じても実は眠れていることがある

自分では一睡もしていないつもりでも、検査をすると実際には眠れていることがあります。実際の睡眠時間と、自分が感じている睡眠時間は一致しないことがあるのです。
眠りが浅く感じられても、昼間の生活に支障がなければ不眠症とは診断されません。
睡眠時間が短いことや、目が覚めた回数にこだわりすぎないことも大切です。日本人の睡眠時間は平均7時間半ほどですが、必要な時間には大きな個人差があります。
ごく稀に3〜4時間で足りる人もいれば、10時間眠らないと足りない人もいます。健康な人でも、年齢とともに必要な睡眠時間は短くなっていきます。
「若い頃はもっと眠れたのに」と比べるほど、眠れないことが気になってしまいます。いま日中に困っていないなら、時間そのものは問題ではありません。
ただし、家族から大きないびきや呼吸の止まりを指摘されたことがあるなら別です。本人が眠れているつもりでも体が休めていないことがあるため、一度検査を受けてください。
眠れない日が何日続いたら受診する?
目安は「週3日以上・3か月以上」です。ただし、日中がつらいならそれを待つ必要はありません。
「何日続いたらおかしいのか」は多くの方が気にする点です。目安を知っておくと、様子を見ていい時期と、相談したほうがいい時期の区別がつきます。

受診の目安は週3日・3か月
| 続いた期間 | 状態 | どうするか |
|---|---|---|
| 数日〜数週間 | 心配ごとや環境の 変化がきっかけ | 生活の工夫で 様子を見る |
| 3か月未満 | 週3日以上 眠れない日がある | かかりつけ医に 相談する |
| 3か月以上 | 週3日以上続き 日中もつらい | 精神科・心療内科へ |
| 期間を問わず | 気分の落ち込みや 意欲の低下がある | 精神科・心療内科へ |
不眠症と診断されるのは、夜眠れないことと、日中に不調が出て生活の質が下がっていることの2つがそろったときです。
眠れない日と日中の不調が週3日以上あり、それが3か月以上続く場合を慢性不眠症、3か月未満を短期不眠症と呼びます。
何科に行けばいいか

まずはかかりつけ医に相談してかまいません。病院で不眠について話すだけでも、不眠への恐怖はやわらぎます。
いびきや呼吸が止まる、脚がむずむずするといった症状があるときは、検査ができる医療機関を選んでください。

眠れないことを一人で抱え込まないでください。眠れないことへの心配が、眠りをさらに遠ざけてしまうことがあります。
眠れないことを話せる相手がいるだけでも、気持ちの負担は変わってきます。受診をためらう必要はありません。
オンライン診療なら、通院の時間をとらずに医師に相談できます。
眠れないときのよくある質問
- Q眠れない時はどうしたら寝れますか?
- A
眠気がないうちは布団に入らず、眠くなってから入るのが基本です。
布団に入っても眠気が来ないまま時間が過ぎるときは、いったん出て薄暗い部屋で静かに過ごし、眠気が戻ってから布団に戻ってください。
- Q一瞬で寝る方法「478」とは何ですか?
- A
秒数を決めて吸う・止める・吐くを繰り返す呼吸法として知られています。
ただし、特定の呼吸法で眠れるようになるかどうかは確かめられていません。秒数にこだわるより、息をゆっくり長く吐いて体の力を抜くことを意識してください。
- Q目をつぶるだけでも睡眠の効果はありますか?
- A
体を休める効果はありますが、眠ったときと同じではありません。
短時間なら横になっていてかまいませんが、眠れないまま長く横になり続けると、かえって寝つきが悪くなります。
- Q不眠症は何日続くとやばいですか?
- A
眠れない日と日中の不調が週3日以上あり、3か月以上続く場合は慢性不眠症と診断されます。
3か月を待たずに、日中のつらさが出ている時点で相談してかまいません。
- Q眠れないのは何かの栄養不足ですか?
- A
栄養不足が不眠の主な原因になるとは示されていません。まず考えられるのは、ストレス・体やこころの病気・薬や刺激物・生活リズムです。
サプリメントを増やすより、この記事で挙げた6つの原因から確認していくほうが確実です。
まとめ
眠れない夜が続くと、そのこと自体が不安になります。まずは今夜やることを1つ決めて、それから原因を1つずつ減らしていってください。
眠れない状態が続いて日中がつらいときは、我慢せず医療機関に相談しましょう。
参考資料
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-001
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
- 国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「不眠症(睡眠障害)」https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=XpsDJBKfyaGD0mIx
― ごあいさつ ―
葛飾橋病院は昭和32年の開院以来、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。
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