
鏡を見るたびに自分の顔が嫌になって、写真に写るのがこわいです

友だちは気にしすぎだと言うけれど、自分には大きな欠点にしか見えません
※よくある相談の内容をもとにした例です。
外見のことが頭から離れず、鏡を何度も確認してしまう。周りからは「気にしすぎ」と言われるのに、自分には深刻な問題にしか思えない。
この状態が続いて生活に支障が出ているなら、醜形恐怖症という状態にあてはまる可能性があります。
これは気の持ちようではなく、治療の対象になる状態です。
まずは診断テストで今の状態を確かめてみてください。そのあとに、症状、なりやすい人、美容医療で解決しにくい理由、治し方と受診の目安を順に見ていきます。
― ごあいさつ ―
葛飾橋病院は昭和32年の開院以来、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。
当コラム記事ではさまざまな心の病を持っている方のお手伝いができればと考えています。
醜形恐怖症の診断テスト

このテストは、自分の状態を言葉にして、相談のときに伝えやすくするためのものです。当てはまる数で病気が決まるわけではありません。
「たまにそうなる」ではなく、「最近くり返している」と感じるものを選んでみてください。
これは診断ではありません。医師の診断に代わるものではなく、相談のときに伝える材料にするためのものです。
✓醜形恐怖症の診断テスト
これは診断ではありません。当てはまるものを選ぶと、相談の目安が下に出ます。「最近くり返している」と感じるものだけ選んでください。
選んだ項目:0/11
※これは診断ではありません。当てはまる数で病気が決まることも、受診するかどうかが決まることもありません。選んだ内容がどこかに送信されることはありません。
このテストは点数では判定しません。選んだ項目の内容に合わせて、いまの状態の受け取り方と相談の目安が表示されます。
選んだ内容はどこにも送信されません。結果はその場で表示されるだけです。
「周りからは気にしすぎと言われる」の項目は、ほかとは意味合いが違います。他人から見るとささいに見えるのに、本人は強く気にしているという点を確かめるための項目なので、当てはまった数には数えていません。
つらさが強いとき、食べ方や体重に変化があるときは、最後の枠の項目も確かめてください。当てはまるものがあれば、ほかのチェックより先に結果に出ます。
診断テストの結果の見方

当てはまった数を合計して線を引く、という使い方はしません。見るところは次の4つです。
このうち、いちばんの目安は1つ目です。生活に支障が出ているなら、当てはまった数が少なくても相談する理由になります。
当てはまる数が少なくても相談してよいとき
チェックの数が少なくても、判断に迷うことはあります。そんなときは、次のどれかに心当たりがあるかを見てみてください。
どれかひとつでも当てはまって困っているなら、相談してよい状態です。
ほかの状態との見分け
外見が気になる状態は、醜形恐怖症だけで起こるわけではありません。整理すると次のようになります。
| 状態 | どんな状態か | 関係 |
|---|---|---|
| 摂食症(摂食障害) | 体重や体型にとらわれ、食べ方にも変化が出る | 気になるのが体重と体型だけなら、こちらが当てはまることがある |
| うつ病 | 気分の落ち込みや興味の低下が続く | 同時にみられることがある |
| 社交不安症 | 人に見られる・評価される場面が強く不安になる | 同時にみられることがある |
| 強迫症 | いやな考えが浮かび、打ち消すために同じ行動をくり返す | 同時にみられることがある |
摂食症だけは、どちらに当てはまるかを分けて考えます。残りの3つは、醜形恐怖症と重なって出ていることがある状態です。
どれに当てはまるかを決めるのは診察です。この表は、相談のときに伝える手がかりとして使ってください。
人に見られる場面そのものが不安の中心にあるなら、人前で食べるのがこわい会食恐怖症の診断テストが近いかもしれません。吐くことへの不安が中心なら嘔吐恐怖症の特徴や症状をチェックもあわせて読んでみてください。

診察では、気になっている部位よりも、そのことにどれくらいの時間を使っているかと、生活がどう変わったかを確かめていきます。
見た目の問題として扱うものではありません。
醜形恐怖症とは外見へのとらわれが続く状態

醜形恐怖症は「しゅうけいきょうふしょう」と読みます。
外見の欠点が頭から離れず、強い苦痛が出たり生活に支障が出たりしている状態です。そしてその欠点は、実際にはないか、あってもごく小さいものです。
この「頭から離れない」状態をとらわれと呼びます。実際以上に大きな欠点に見えて、考えが止まらなくなる状態のことです。
読み方と呼ばれ方
呼び方がいくつもあるため、調べていると混乱しやすい状態です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | しゅうけいきょうふしょう |
| 医療機関での呼び方 | 身体醜形症 |
| そのほかの書かれ方 | 身体醜形障害/醜形恐怖 |
| 英語 | body dysmorphic disorder(BDD) |
| 分類 | 強迫症および関連する症状のグループ |
どれも指している状態は同じです。医療機関の説明では「身体醜形症」と書かれます。なお「◯◯醜形恐怖症」という言い方が世の中にはいくつかありますが、医学の用語として決まっているものではありません。
どのくらいの人にみられるか
めずらしい状態ではありません。一般の人のうちおよそ2〜5%にみられると報告されています(記事末の参考資料の1つ目)。
それでも知られていないのは、人に言いにくいという事情があるためです。恥ずかしさから打ち明けられず、長いあいだ診断に至らないことがあります。
「自分は本当に醜いのだから、これは病気ではない」と考えて相談しない、ということも起こります。
外見を気にすること自体は誰にでもあります。分かれ目になるのは、そのことに使っている時間の長さと、生活への支障の大きさです。鏡の前で身支度に時間がかかる、というだけなら日常の範囲です。
いつごろ始まりやすいか
多くは青年期(10代後半から20代)に始まります。男性より女性にやや多くみられます。
気になる部位は顔や頭がもっとも多く、薄毛、にきび、しわ、傷あと、肌の色、体毛などが挙がります。鼻や目、口、胸、脚などの形や大きさが対象になることもあります。
実際ににきび跡などがある場合はどうなのか、と迷うかもしれません。目立つかどうかより、気にする強さと生活への支障で考えます。
筋肉が足りない、体が小さすぎると感じるタイプもあり、これは筋肉醜形恐怖症と呼ばれます。
醜形恐怖症の症状と行動

症状は、頭に浮かぶ考えと、実際にしてしまう行動に分けると整理しやすくなります。
| こころに出ること | 行動に出ること |
|---|---|
| 外見の欠点が頭から離れない | 鏡で何度も確認する |
| 毎日何時間も思い悩む | 逆に鏡をまったく見ない |
| じろじろ見られていると感じる | 身づくろいに時間をかける |
| 笑われていると感じる | 肌をいじる |
| 自分は醜いと信じている | 人と見比べる |
こころに出ること
中心にあるのは、外見の欠点にとらわれて離れられないという状態です。
本人にとっては想像ではなく事実として感じられます。周りが「そんなことない」と言っても、納得できないことがほとんどです。
毎日何時間もそのことを考え続け、ほかのことが手につかなくなります。
行動に出ること
とらわれから抜けるために、同じ行動をくり返すようになります。
鏡で何度も確かめる人が多い一方で、鏡をまったく見ようとしない人もいます。この2つが時期によって入れ替わることもあります。
どちらも「不安をなんとかしたい」という同じ動機から出ている行動です。
隠すための工夫も増えていきます。帽子で髪の薄い部分を隠す、ひげを伸ばして傷あとだと思っている部分を覆う、前髪やマスクで顔の一部を隠す。服を何度も着替えて見え方を確かめることもあります。
周りの人に「変じゃないよね」と何度も確かめてしまうこともあります。その場では安心できても、長くは続きません。
暮らしに出ること
行動が増えるほど、生活のほうが削られていきます。
人前に出る場面を避けるようになり、仕事や学校、人の集まる場所から足が遠のきます。重い場合は夜しか外出しない、まったく外出しないということも起こります。
結果として人との関わりが減り、孤立しやすくなります。そこから気分の落ち込みが重なることもあります。
周りからは「ただのこだわりが強い人」としか見えないため、つらさが伝わりにくいのもこの状態の特徴です。
醜形恐怖症になりやすい人と原因

はっきりした原因が1つに決まっているわけではありません。
「美人に多い」と言われることがありますが、根拠のある話ではありません。問題の中心にあるのは他人から見た評価ではなく、自分の見え方との折り合いがつかないことです。
重なりやすいこころの状態
醜形恐怖症の人の多くには、ほかのこころの状態も同時にみられます。
はっきりした原因は分かっていません。分かっているのは、こうした状態が重なりやすいということです。
外見の悩みだけを切り離して考えないほうがよい理由がここにあります。気分の落ち込みが先にあって外見のことが気になりだしたのか、外見の悩みが続いて気分が落ちたのか。順番によって、先に扱う部分が変わります。
不安が強くなりやすい状態については、起こってもいないことに不安になる原因もあわせて読んでみてください。
きっかけになりやすいこと
症状は少しずつ強くなることもあれば、急に現れることもあります。強さも一定ではありません。
何がきっかけだったのかは、本人にも分からないことがあります。きっかけが思い当たらなくても、相談して構いません。
放っておくと長引きやすいことが分かっています。困っている時点で相談するほうが、動き出しやすくなります。

きっかけがはっきりしないこともあります。原因探しより、いま困っていることから整理していくほうが進めやすくなります。
美容医療で解決しにくいのはなぜ?

この状態でもっとも誤解されやすいのが、外見を変えれば解決するのではないかという点です。
実際には、外見を変える施術を受けても期待した結果を得られないことが多く、かえってとらわれが強まってしまうことがあります。
外見を変えても不安が戻る理由
困りごとの中心が、外見そのものではなく外見へのとらわれにあるためです。
施術で見た目が変わっても、とらわれが残っていれば、同じ不安が同じ強さで戻ってきます。気になる部位が別の場所に移ることもあります。
「ここさえ直れば」という感覚は強く、本人にとっては筋が通っています。期待が大きいぶん、受けてみて納得できなかったときの落胆も大きくなります。
施術を繰り返してしまうとき
この状態の人の多くが、皮膚科や歯科、外科などで施術を受けます。一度では終わらず、何度も受けることもあります。
満足できないまま回数が増えているときは、施術の技術の問題ではなく、不安の扱い方の問題になっている可能性があります。
受ける前は「これで終わりにできる」と思えていても、終わったあとに別の部分が気になりはじめる。その繰り返しに入っていると、本人がいちばん消耗します。
筋肉が足りないと感じるタイプでは、体を大きくするために承認されていない薬やサプリメントに手を出してしまうことがあります。健康を損なう危険があるため、この行動が出ているときは早めに相談してください。
醜形恐怖症の方が、外見の悩みを解消する目的で美容外科の手術を受けた場合はどうか。ほぼ常に効果がなく、結果に満足できないリスクが非常に高いため、推奨されないと整理されています(参考資料の1つ目)。
美容医療そのものを否定するものではありません。 困りごとの中身が違う、ということです。
美容医療を検討している、または受けたことがあるなら、そのことも含めて精神科・心療内科で相談して構いません。施術を否定されるのではないかと心配される方がいますが、確かめたいのは「外見を変えて解決する状態かどうか」です。
醜形恐怖症の治し方

治療の柱は認知行動療法と薬の2つです。どちらか一方だけのこともあれば、両方を組み合わせることもあります。
| 方法 | 何をするか | 向いているとき |
|---|---|---|
| 認知行動療法 | 外見についての考え方を整え、くり返す行動を減らす | 確認や身づくろいがやめられない |
| 薬による治療 | 不安やとらわれを和らげる | 苦痛が強く、考えが止まらない |
| 両方の組み合わせ | 上の2つを並行して行う | 症状が重く生活に支障が出ている |
薬による治療はしばしば効果があり、認知行動療法が有効になることもあります。症状が重いときは、両方を組み合わせるのがよいと考えられています。
逆に、治療をしないでいると長引きやすいことが分かっています。すぐに答えが出なくても、早めに相談しておくほうが動きやすくなります。
認知行動療法
外見について、より正確で現実に合った考え方ができるように練習していく方法です。
あわせて、鏡で確認する、肌をいじるといったくり返しの行動を減らしていきます。人と関わる場面に少しずつ慣れていく部分も含まれます。
進め方はおおまかに3つです。①外見についての受け取り方を見直す ②鏡の確認や身づくろいの回数を少しずつ減らす ③避けていた場面に少しずつ戻る。
皮膚をむしる、髪を抜くといった行動を減らすために、習慣逆転法という認知行動療法が使われることもあります。
いきなり苦手な場面に取り組む必要はありません。何から始めるかは相談しながら決めます。
薬を使った治療
不安やとらわれに対しては、抗うつ薬(SSRIなど)が使われることがあります。SSRIは、セロトニンという脳内の物質に働く薬です。
抗うつ薬という名前がついていますが、気分の落ち込みだけでなく、とらわれや不安にも使われます。
効き方や合う薬は人によって違います。どの薬をどれくらい使うかは、医師が必要性を判断したうえで、診察で相談しながら決めます。
病気だと思いにくいときは
この状態の難しいところは、本人が病気だと思いにくいという点です。
外見の問題だと感じているため、「治療を受ける話ではない」と考えてしまいます。
ですが治療で扱うのは、外見そのものを直すことではありません。鏡に映る姿が実際より大きな欠点に見えてしまう、その見え方のほうです。
すぐに納得できなくても構いません。「困っていることを相談しに行く」という入り方で十分です。
受診の目安と何科に行くか

外見のことで生活に支障が出ているなら、期間の長さにかかわらず相談して構いません。
急ぎたいときと様子を見てよいとき
迷ったときの目安です。
| 状態 | 動き方 |
|---|---|
| 消えてしまいたいと感じる、自分を傷つけてしまう | すぐに相談(この節の最後にある窓口へ) |
| 体重が減ってきた、食べたあとに吐く | すぐに受診 |
| 外出や出勤ができない、予定を断り続けている | 早めに相談 |
| 困ってはいるが生活は回っている | 相談してよい。時期は自分で決めて構わない |
この状態では、つらさから死にたい気持ちを抱えることがあります。これまでに一度でも死にたいと考えた経験がある人は、およそ8割にのぼるという報告があります(参考資料の1つ目)。
つらい気持ちが出てくること自体は、この状態では起こりうることです。ただ、一人で抱えるものではありません。
受診前にメモしておくと役立つこと。①どこが気になるか ②いつごろから続いているか ③そのために避けていること・やめられない行動
何科を受けるか
困りごとによって、最初に行く先が変わります。
| こんなとき | 相談先 |
|---|---|
| 外見のことで生活に支障が出ている | 精神科・心療内科 |
| 体重が減ってきた、食べ方が変わった | まず内科で体の状態を確かめ、並行して精神科へ |
| 肌や髪の状態そのものに治療が必要 | 皮膚科。あわせて精神科・心療内科 |
| 美容医療を受けたが満足できない | 精神科・心療内科 |
精神科と心療内科は、どちらでも相談できます。 迷ったときは通いやすいほうで構いません。
鏡のある場所や人目が気になって、外出そのものが負担になっているときは、通院のために出かけること自体がハードルになります。
オンライン診療を行っている医療機関もあります。自宅から受けられるので、外出の部分を避けて相談を始められます。
関連記事:外出が負担なときの精神科・心療内科のオンライン診療

「こんなことで受診していいのか」と迷うかもしれません。確かめたいのは外見ではなく、そのことで生活がどれくらい制限されているかです。
困っている時点で、相談する理由としては十分です。
つらさが強いときは、次の窓口も使えます。
醜形恐怖症のよくある質問
- Q醜形恐怖症はどんな人に多いですか?
- A
青年期に始まることが多く、男性より女性にやや多くみられます。
- Q醜形恐怖症の人はどんな行動をとりますか?
- A
鏡で何度も確認する、身づくろいに時間をかける、肌をいじる、人と見比べる、隠すために工夫するといった行動がくり返されます。鏡をまったく見ないという形をとることもあります。
- Q醜形恐怖症の症状は何ですか?
- A
実際にはないか、あってもささいな外見の欠点にとらわれ、強い苦痛が出たり生活に支障が出たりします。人前に出る場面を避けるようになることもあります。
- Q気にしすぎと言われますが受診していいですか?
- A
構いません。周りからささいに見えることと、本人のつらさの大きさは別のものです。生活に支障が出ているなら、それが相談する理由になります。
- Q美容整形で治りますか?
- A
外見を変える施術では期待した結果を得られないことが多く、満足できないまま回数が増えることがあります。すでに受けたことがある場合も含めて、精神科・心療内科で相談してみてください。
- Q何歳から相談できますか?
- A
年齢の決まりはありません。青年期に始まることが多いため、学生のうちに相談して構いません。保護者の方が先に相談することもできます。
- Q強迫症とは違うのですか?
- A
醜形恐怖症は強迫症と近いグループに位置づけられています。確認をくり返す点は共通していますが、とらわれの中心が外見にあるかどうかで分けて考えます。
- Q治るまでどのくらいかかりますか?
- A
人によって差があり、一律の目安はありません。治療を受けずにいると長引きやすいため、困っている時点で相談するほうが進めやすくなります。
まとめ

最後に要点をまとめます。
気の持ちようではありません。 困っていることから相談してみてください。
参考資料
- MSDマニュアル家庭版「身体醜形症」(2025年11月更新)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/ /2026年10月6日閲覧
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」電話相談窓口 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/ /2026年10月6日閲覧


