朝、目は覚めているのに体が動かない。好きだったことが、何ひとつ面白く感じない。
そんな日が続いて、「休んだほうがいいのかもしれない」と思い始めたところだと思います。

診断書をもらいに行って、大げさだと思われたらどうしよう。
断られるのが怖くて予約できない。この段階で止まっている人は少なくありません。
うつ病の診断書は、心療内科か精神科を受診して、医師が必要と判断した場合に発行される書類です。希望すれば出るものではなく、症状が軽いから出ないと決まっているものでもありません。
医師の判断によって発行できない場合もあります。読む前に押さえておきたいのは、次の3点です。
1. 医師が見ているのは症状の強さだけではない。暮らしや仕事がどれだけ回らなくなっているか
2. 病名ではなく「抑うつ状態」と書かれることがある。これは珍しいことではない
3. 診断書は休職を決める書類ではない。私傷病(仕事以外の原因による病気やケガ)での休職は、会社の就業規則で決まっている
― ごあいさつ ―
葛飾橋病院は昭和32年の開院以来、地域の皆様や多くの病院の方々にご協力をいただき、半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。
当コラム記事ではさまざまな心の病を持っている方のお手伝いができればと考えています。
うつ病の診断書に書かれること

診断書は、医師が診察した結果を会社に伝えるための書面です。長い文章ではなく、多くは1〜2枚の書面(またはPDF)です。
中心になるのは、今は働くことが難しく、休んで治す必要があるという判断です。療養にどのくらいの期間が必要かを書くかどうかは、書式や医療機関によって変わります。
これ以外に何が入るかも一通りではありません。
症状そのものは細かく書かれない
「どんな症状があるか全部書かれて、会社に筒抜けになるのではないか」。これを心配する人は多いです。
実際に書かれるのは、療養が必要だという判断が中心です。診察で話した内容がそのまま並ぶものではありません。
気になることがあれば、診察のときに伝えてください。どう書くかは医師が判断しますが、心配している点を話しておくことはできます。
受診を迷っているときのセルフチェック
診断書が出るかどうかは、医師が今の状態を見て判断します。そのため、まず自分の状態を言葉にしておくと話が早く進みます。
いくつか選んで確かめてみてください。選んだ内容は保存されず、誰にも送られません。
※電話相談窓口の情報は厚生労働省「まもろうよ こころ」で2026年10月7日に確認したものです。
いますぐ命が危ないときは119番へ。
✓受診を迷っているときのセルフチェック
これは診断ではありません。当てはまるものを選ぶと、相談の目安が下に出ます。いまの状態として続いていると感じるものだけ選んでください。
選んだ項目:0/14
※これは診断ではありません。当てはまる数で診断名や診断書の可否が決まることはありません。選んだ内容がどこかに送信されることはありません。続いている期間で相談の可否が決まるわけでもありません。
診断書は誰でももらえるのか

医師が判断の材料にしているのは、症状の強さそのものよりも、その症状で生活や仕事がどれだけ回らなくなっているかです。
「大げさだと思われないか」が心配なとき
受診をためらう理由としてよく挙がるのが、これです。
ただ、医師は困って来た人を診るのが仕事です。つらくて動けない状態が続いているのに受診しないままだと、その状態が長引くことがあります。
迷っている段階で相談して構いません。診断書を出すかどうかは、話を聞いてから決めることです。
医師が診察で確かめていること
このほか、いつからの変化か、体の病気が隠れていないかも含めて確かめます。厚生労働省の用語解説では、うつ病はこう説明されています。
「様々な心理的負荷などにより精神活動が低下し、…生活上の著しい苦痛や機能障害を引き起こす精神疾患です」
「生活上の著しい苦痛や機能障害」、つまり仕事や家のことなど、ふだんできていたことができなくなっているかどうか。ここが診察で確かめられているところです。
症状そのものについては、別の記事にまとめています。関連記事:うつ病の人がとる行動

診断書を書くかどうかは、つらさを採点して決めているわけではありません。眠れているか、食べられているか、仕事や家のことがどこまで回っているか。そこを具体的に話していただけると判断ができます。
書いてもらえないのはどんなときか

いちばん気になるのはここだと思います。断られる理由は、だいたい次のどれかに当てはまります。
判断するための情報が足りない
よくあるのが、これです。症状が始まったばかりで経過を見たい、体の状態を調べる必要がある、他の医療機関に通院中でそちらの情報を確認したい。
こうした場合、その日には出さず、次の受診で判断することになります。断られたのではなく、保留になっているという状態です。
次にいつ来ればよいかを確認して帰ってください。
受診の目的が書類だけになっていて、話が進まない
「診断書をください」から診察が始まると、医師は状態をつかめません。困っている内容を先に話すと、話が進みます。
順番が逆になると、確認のためのやりとりが増えて時間がかかります。
そもそも違う見立てになる場合がある
話を聞いた結果、うつ病ではない別の状態として考えたほうがよい、と判断されることもあります。その場合でも、療養が必要なら診断名を変えて診断書が出ることがあります。
「うつ病の診断書」が出なかったことと、「何も出なかった」ことは別です。
納得できないときは、その場で理由を聞いてかまいません。情報が足りないのか、見立てが違うのか、それだけでも次の動き方が変わります。
診断書は即日でもらえるのか

その日に受け取れることも、後日になることもあります。事前に確約はできません。
オンライン診療のサービスには「最短即日」と案内しているところがあります。早く受け取れることは、つらい状態にある人にとって助けになります。
ただし、そのサービスでも「医師の判断により、診断書の発行やお薬の処方ができない場合があります」と書かれています。即日と案内されていても、その日に出ると決まっているわけではありません。
早く出ることと、続けられることは別
診断書をもらったあとのことも見ておいてください。休職中も復職のときも医師の書類が必要になることがあるので、発行の早さだけでなく、通い続けられるかで選ぶほうが後が楽です(詳しくは後述します)。
オンライン診療を使うときの注意
外に出るのがつらい状態なら、オンライン診療も選べます。
ただし、薬については国が決めた制限があります。厚生労働省は、初めての受診(初診)では、向精神薬をオンラインで処方できないとしています。
向精神薬とは、心の働きに作用する薬のうち、法律で指定されているもののことです。さらに同省は「オンライン診療で処方を受けるに当たって注意が必要なお薬一覧」も公表しています。
そこには、初診で処方すべきでないと医師が判断し得る薬として、抗うつ薬・抗不安薬・睡眠導入剤(睡眠薬)が挙げられています。初診で診断書と薬の両方を受け取るつもりで予約すると、薬は出ないことがあります。
そのつもりで申し込んでください。
「抑うつ状態」と書かれることがある理由

受け取った診断書に「うつ病」ではなく「抑うつ状態」と書かれていて、不安になることがあります。これは珍しいことではありません。
厚生労働省の用語解説では、抑うつ状態についてこう説明されています。「気分が落ち込み、憂うつになる状態をいいます。
うつ状態と抑うつ状態の違いは明確なものはなくほぼ同義語です」そのうえで、抑うつ状態を示す代表的な病気としてうつ病が挙げられています。
一方で、不安障害・統合失調症・適応障害・パーソナリティ障害など、あらゆる精神疾患でみられる症状だとも書かれています。
抑うつ状態は病名ではなく状態の名前
抑うつ状態は、病名ではなく状態を表す言葉です。診断の初期で、うつ病なのか別の病気なのかを見きわめている途中では、状態名で書かれることがあります。
経過を見て、後から診断名が決まることもあります。
| うつ病 | 抑うつ状態 | |
|---|---|---|
| 何を指すか | 病気の名前(診断名) | 気分が落ち込んだ状態を表す言葉 |
| どこでみられるか | うつ病として診断されたとき | 不安障害・適応障害など、さまざまな精神疾患で |
| 診断書での扱い | 病名として書かれる | 状態として書かれることがある |
会社に出すときに不利になるのか
「抑うつ状態だと軽く見られるのでは」と心配する人がいますが、診断書で伝わるのは療養が必要かどうかです。
病名の表記そのものより、就業が難しい状態であることが書かれているかどうかが、会社の手続きでは中心になります。気になるなら、診察のときに相談してください。
診断書は会社でどう扱われるのか

「診断書は有効ですか」という疑問も、よく出てきます。診断書を出せばそのまま休めるのか、という意味だと思います。
答えは「診断書だけでは決まらない」です。厚生労働省は働く人向けのサイトで「私傷病による休職制度については法令で義務付けられているわけではありません」と説明しています。
私傷病とは、仕事以外の原因による病気やケガのことです。
診断書は手続きを始めるための材料
私傷病で休職できるかどうか、どのくらい休めるか、その間の給与がどうなるかは、会社の就業規則で決まっています。診断書は、その手続きを始めるための材料です。
とはいえ、制度がない会社が多いわけではありません。同じページには、病気休職の制度がある企業の割合が載っています。
ある 91.9%、ない 7.9%、無回答 0.2%(2013年の調査)。
※労働政策研究・研修機構の調査で、通常の年次有給休暇以外に、1か月以上続けて私傷病で休める休暇・休職・休業の制度や慣行がある企業の割合です。労災による休職制度は除きます。
制度を持っている企業は多い一方で、内容は会社によって大きく違います。2013年の調査でもあるので、自分の会社の就業規則で確かめてください。
就業規則で先に見ておきたいこと
休職できる期間の上限は、会社ごとに違います。上限を過ぎても働ける状態に戻っていないと、就業規則にしたがって退職扱いになる会社もあります。
ただし、そこで終わりと決まっているわけではありません。厚生労働省は、主治医などの意見も踏まえて就業規則の復職手続きにしたがって申請し、会社と話し合うことが大切だとしています。
もらったあとに続くこと

診断書を受け取って休みに入ったら、そこで終わりではありません。厚生労働省の用語解説では、うつ病の治療について「休養、薬物療法、精神療法を組み合わせます」と、休養が最初に挙げられています。
休むこと自体が治療の一部という位置づけです。
通院は続く
診断書の期間が終わるころに受診して、そのときの状態で延長するか復職に向かうかを決めます。延長のときに改めて書類が必要になる場合があり、その分の費用もかかります。
通院の間隔とあわせて、最初の診察で確認しておくと見通しが立ちます。
復職にも書類が要る
復職のときにも、働ける状態に戻ったことを示す医師の書類を求められることが多いです。ここで効いてくるのが、休んでいる間の経過を同じ医師が知っているかどうかです。
経過を知っている医師のほうが、復職の時期の相談で状況を把握しやすくなります。
費用の考え方

診断書の料金に、全国で決まった金額はありません。医療機関ごとに違います。
対面のクリニックは金額を公開していない場合があるので、受診先に直接聞くのが確実です。公式サイトで金額を公開している例を見てみます。
心療内科のオンライン診療を行っている2つのサービスでは、会社に出す診断書は1枚あたり税込4,400円と税込4,840円でした。ただし片方は保険診療、もう片方は自費診療です。
診察料の仕組みが違うので、書類代だけを並べて比べることはできません。
※各社の公式サイトで2026年10月7日に確認した内容です。最新の料金は各サービスの公式サイトでご確認ください。
※デジタルクリニックは公式サイト内で金額の表記が分かれています(4,840円と4,400円)。申し込む前に公式サイトで確認してください。
上の金額は書類代だけです。
診察料は別にかかります。
自費診療の医療機関が発行する書類は、傷病手当金の申請などで使えるかどうかの取扱いが、加入している健康保険や勤務先によって違うことがあります。発行元も「事前に申請先へご確認いただきますよう」と案内しています。 診断書代に診察料が加わるので、支払いはこの金額より多くなります。
また、会社に出す診断書と、傷病手当金の申請書は別の書類です。傷病手当金は、休んでいる間の給与の代わりに健康保険から受け取れるお金で、その申請書に医師が記入する欄があります。
どちらも「診断書」と呼ばれがちですが、書式も料金も別に設定されています。受診するときは、必要な書類の名前を伝えて金額を聞いてください。
「診断書はいくらですか」とだけ聞くと、傷病手当金の申請書の分が入っていない金額だけが案内されることがあります。
よくある質問

- Qうつ病の診断書はどうやってもらえますか?
- A
心療内科や精神科を受診して、医師に状態を話すところから始まります。「診断書をください」ではなく、困っている内容を先に話すほうが話が進みます。
会社の指定書式があれば持っていってください。
- Qうつ病の診断書を書いてもらえない理由は何ですか?
- A
よくあるのは、判断するための情報が足りない場合です。断られたのではなく保留になっていることがあるので、次にいつ受診すればよいかを確認してください。
- Qうつ病の診断書は誰でももらえますか?
- A
誰でももらえるものではありません。医師が診察して、症状で生活や仕事がどれだけ回らなくなっているかを見て判断します。
症状が軽いから出ないと決まっているわけでもありません。
- Qうつ病の診断書は有効ですか?
- A
会社の就業規則によって扱いが決まります。私傷病による休職の制度は法令で義務づけられたものではないため、診断書があっても会社の就業規則次第になります。
なお、長時間労働などが原因と疑われる場合は、業務上の災害として扱われるかが別に判断されます。先に就業規則を確認してください。
- Q「抑うつ状態」と書かれていました。うつ病ではないということですか?
- A
抑うつ状態は病名ではなく、状態を表す言葉です。厚生労働省の説明でも、うつ病だけでなくさまざまな精神疾患でみられる症状とされています。
見きわめの途中では状態名で書かれることがあります。
- Qうつ病の診断書は即日でもらえますか?
- A
その日のことも、後日になることもあります。「最短即日」と案内しているサービスもありますが、医師の判断で発行できない場合があるとも書かれています。
確約されたものではありません。
- Q診断書をもらったあと、通院はしなくてよいのでしょうか?
- A
通院は続きます。期間が終わるころに受診して、延長するか復職に向かうかを判断します。
復職のときにも書類が必要になることが多いので、同じ医療機関に通い続けたほうが進めやすくなります。
まとめ

うつ病の診断書は、診察のうえで医師が働き続けるのは難しいと判断したときに書いてもらえる書類です。症状の強さだけでなく、生活や仕事がどれだけ回らなくなっているかを見て判断されます。
その日に出ないことがあっても、断られたとは限りません。情報が足りずに保留になっている場合があるので、次にいつ受診すればよいかを確認してください。
受診の前に用意しておきたい3つのこと
- いつから何が起きているかをメモにする。箇条書きで十分
- 会社の就業規則で、休職の手続きと期間の上限を確認する
- 必要な書類の名前を決めておく。会社に出す診断書と傷病手当金の申請書は別物
「大げさだと思われないか」と迷っている段階がいちばん長引きます。
まずは話を聞いてもらうところから始めてください。
参考資料
- 厚生労働省 こころの耳「うつ病」 https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1521/
- 厚生労働省 こころの耳「抑うつ状態(うつ状態)」 https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1699/
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」退職、解雇、雇止めなど https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_taisyoku.html
- 厚生労働省「オンライン診療について 国民・患者の皆様へ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38226.html
- 厚生労働省「オンライン診療で処方を受けるに当たって注意が必要なお薬一覧」(上記ページ内で公開)
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html
- エニキュア「料金」 https://anycure.jp/pricing/
- エニキュア「よくある質問」 https://anycure.jp/frequently_asked_questions/
- デジタルクリニック「心療内科(精神科) オンライン診療」 https://digital-clinic.life/online/mentalhealth/
- デジタルクリニック「よくある質問」 https://digital-clinic.life/faq/


